第261話 ルグミーヌ王国からの謝礼3
「さて、残るはテルガニ男爵、コンスタン殿への謝礼であるが何をお望みかな」
「いえ、参戦表明だけで結構です」
「そうはいかぬ。メンヒルトは本人の下賜(かし)も希望しているようだからな」
「国王陛下、魔法も使えぬ平民にルグミーヌ王国の王女が降嫁(こうか)など」
「確かに魔法が似合わぬ屈強な肉体に見えるが」
「主、テルガニ男爵に教えて頂いたので少しだけなら」
「陛下の御前で適当なことを申すではない。できるならばこの場で発動してみよ」
「構わぬ、やってみせよ」
「では。≪土壁≫」
「今のは魔法カードによる発動ではないか!?」
「いえ、ほら魔法陣が残っていますよね。魔導書代わりに見ながらだっただけですよ」
「なるほど、詠唱や魔法陣を見ながらではあるが触媒も無く中級魔法を発動できるか。その体格で肉体訓練以外に魔法にまでとはなかなかあっぱれ」
「はは、ありがとうございます」
「いきなり降嫁など言われても困るであろうが、まずは我が娘メンヒルトの友人になってやっては貰えぬかな。だがそれでは褒美ではなくお願いであるな。テルガニ男爵、コンスタン殿には十分な金銭をお渡しするように」
「かしこまりました」
「はは、ありがとうございます!」
謁見の間から別室にコンスタンと一緒に戻って来たジェロは椅子に座ったところで大きなため息をつく。
「テルガニ男爵、また助けて頂きましたね。ありがとうございます!」
「そんな、モーネ王女。結果としてそうなっただけですよ」
「いや、男爵が魔物退治など進んで実施してくれたおかげでの、その延長である」
「それを言うならばジュリユー騎士爵たち騎士団の皆様の支援のおかげですよ」
「いえ、我々は単に露払いをしただけで。我々では魔人やヴァンパイアに対峙などできません。やはりテルガニ男爵、その家臣の皆様のおかげです」
「何にせよこの使節団の目的は達成できそうで良かったです」
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