第256話 使節団への報告

ジェロたちは夜が明けると6人の女性たちを手分けして馬に同乗させて王都アーレアまで戻り、まずは冒険者ギルドの応接室に向かう。

王女が居たと護衛隊長のジュリユー騎士爵には話をしていたので、騎士団員たちは急ぎ王城の使節団たちに報告に向かっている。そのためギルドの応接室にはジェロたち7人と捕まっていた6人だけである。


前にも話をしたギルド職員のインリアンに声をかけて、王城に使いを出して貰うとともに、王女以外の5人の身元確認を依頼する。そのうち4人は本人の申告通り街の娘たち、行方不明と言われた看板娘たちであった。そちらの親たちにも使いが出されて、迎えが来た娘から順次引き渡しをされていく。

フードを深くかぶり言葉を発さない娘一人が残り、その後について悩んでいるところへ王城からの使いがやってくる。

「メンヒルト王女殿下!よくぞ御無事で!」

「えぇ、こちらのコンスタン様のおかげよ。良くお礼を申し上げておいて」

「冒険者の皆様でしょうか。お礼はまた別途つかわせて頂きます」

「いえ、我々はコンヴィル王国からの使節団の一員で、私はジェロマン・テルガニ男爵と申します。また王城でお話させて頂きます」

「これは大変失礼いたしました。まずは王女殿下を連れて帰りますが、その後のお話は別途ということで」

「いやよ、私はこのコンスタン様と一緒でないと王城に戻りません。ちゃんとお父様からお礼を言って頂かないと」

「王女殿下、私はこのテルガニ男爵の家臣でございます。主のご命令が無い限り勝手はできません」

「テルガニ男爵とやら、私と一緒に王城に登城して貰えますね?」

「はい、かしこまりました」

『あらあら、新しいタイプね』

『宿屋に戻って休みたかったのに、正装に着替えて馬車に乗るしか無いね』


あと1人行先が決まっていない女性をどうしたものか、預けて良いかとインリアンに目線でやり取りしようとしたところ、ジェロのすぐ横に来て腕を捕まれ、ついて行く、という感じである。仕方ないので宿屋に連れ帰ることにする。

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