第255話 屋敷の地下室
地下室の前でエヴラウルが少し苦笑いしながら、こちらです、と指し示す。疑問に思いながら中をのぞくと、仲間たち以外に数人の女性が居たのだが、それ以上にコンスタンにピッタリ引っ付いている女性に目を引かれる。
「各部屋を見て特に問題はなさそうでしたので、最後に来たこの地下室に、この女性たちが監禁されていました。施錠されていたのでコンスタンが強引に扉を破って入ったところ、こちらの女性がコンスタンに引っ付いたまま離れなく……」
特に危険性がある問題ではなさそうなので、その特定の距離感だけは無視して
「皆様、こちらの館に居た黒幕たちは既に倒しました。これから王都アーレアにお連れします。ただ、このような場所でしたので、念のために病気や毒になられている可能性も含めて回復魔法を順番にかけさせていただきます」
と声をかけて、合計6人の若い女性に順次≪軽病治療≫≪解毒≫≪回復≫の古代魔術をかけていき、最後に全員に≪洗浄≫魔法で汚れを落とす。
そしてその6人を連れて屋敷の正面玄関から庭を見てみると、騎士団たちの戦闘も終了していた。
「テルガニ男爵、御無事でしたか。喧噪も聞こえなくなったので、我々も息を整えた今から突入しようとしていたところです。おや、そちらの女性陣は?」
「どうも捉えられていた方々のようです。このまま夜があけて明るくなるのを待って王都にお連れしましょう」
同じ女性同士の方が話しやすいだろうということでリスチーヌとジョジョゼの2人が6人の女性たちに非常食を分け与えながら会話をしている。
しばらくして、セパルの机から回収していた手紙をレナルマンと一緒に見ていたジェロのところに、こっそりリスチーヌが報告にくる。
「ジェロ様、あのコンスタンに引っ付いていた女性、どうもこの国の王女のようです。他の4人は街の娘たち、1人はどうしても発言をしません」
「うわ、これはそういうことだったのか」
手元の手紙の内容が、ルグミーヌ王国には状況を静観するように脅迫するものであったからである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます