第228話 使節団の顔合わせ3
形式的な顔合わせが終わった後、馬車に移動することになったが、ジェロがモーネ王女、ヒル王子に近づく。
「改めて、またどうぞよろしくお願いいたします」
「ジェロマン男爵、こちらこそ頼りにしています。またお助け下さいね」
「ジェロ、またお願いね」
モーネとヒルから親しげに返事を貰える。
「テルガニ男爵、引き続きどうぞよろしくお願いいたします」
ユゲットがジェロに挨拶して来る。
「ユゲット様、びっくりしました。てっきりモージャンに戻られるのかと」
「官僚の方にモージャンへの配達をお願いした手紙の中で父には通知済みでございます。ジェロマン様が男爵に叙爵されたことと併せてジェロマン様に引っ付いて行くと」
「え?」
「王女殿下たちの護衛になられて王都を離れられること、我々にお教えに来て下さらなかったのは残念ですが、機密情報の漏洩防止のためにはと理解して我慢しました。まぁある程度の想像はされましたので、伝手で王女殿下たちの付き人にして貰っていました」
「えぇ?」
『あらあら、なかなか積極的な子がここにも』
『そんなに男爵当主って価値があるのか……』
「ではまた長旅を共に、よろしくお願いいたします」
一般的には美人の素敵な笑顔だが、ジェロにとってはその後ろが怖い笑顔で去っていくユゲットにまともに答えることできずに固まったまま見送る。
その二人の様子を少し離れたところでジッとクロヴォンが見ている。
一方、馬車の付近で待っているイドたちはジェロとあらかじめ準備していた行動に移っていた。昨日、王都で購入していた素材、薬瓶、薬研などを使ってジェロが調合した傷回復薬、ポーションを手土産に挨拶にまわったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます