第208話 王国魔術師団指導員2

「こちらになります」

ガニーやモージャンの図書館や冒険者ギルドの図書室は当然に比べ物にならない程の、多くの書物が並んだ図書室に案内される。

「魔法の習得以前の入門書や、魔道具、ポーション等の関連書物も多いので、すべてが魔法の習得のための書物ではありませんが」

「流石の量ですね。圧倒されました」

『まるで書物がもっと普通であった前世での、小さな町の図書館のようだよ』

『つまり、初めて見るほどの規模では無いのね』

『前提が違うからね。売り物だけでこれより多く陳列している大きな書物のお店もあったから』

「上級以下であれば色々とありますよ。例えば水魔法ではこちらです。≪氷槍≫≪氷結≫≪氷壁≫ですね」

「なるほど。王級水魔法の≪霧氷≫はありますか?」

「王級以上の魔導書等はこちらではなく王城で保管されています」

「そうですか。実は先日の魔人は、先ほどの上級水魔法だけでなく≪霧氷≫も使用しておりました」

「なんと!しかし、それを撃退されたのですね。流石はジェロマンさんですが、やはり魔法戦闘力を何とかしないと帝国に勝てませんね。失礼ですが王級以上の魔法の習得は?」

「いえ、その等級の魔導書とは縁がありませんでしたので」

「そうですよね。対魔人のことを踏まえると。王城と調整をするようにします。ただ、そのためにも魔術師団との関係性を何らかで」

『上手だわね、この男』

『なんか手のひらで踊らされている気もするけれどしかたない』

「わかりました。では非常勤講師の役を拝命できますか。私も魔人対策の力が欲しいので。きっと狙われるでしょうし」

「ありがとうございます!」

「でも、平民どころか孤児院出身の私では話を聞いて貰えるか心配です。それに上手にお教えできるか。人には教えたことがありませんので」

「大丈夫ですよ。ご存じのように魔法はイメージする力も大事ですから、見本を見られる“見取り”も貴重な勉強になります」

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