第190話 コンヴィル国王御前2
「宰相よ、説明ご苦労。皆も我らがコンヴィル王国のおかれた状況も認識できたと思う。意見がある者は遠慮なく述べよ」
「では。騎士団長の私からよろしいでしょうか」
「エクトビ・ニーシヨン、話を聞こう」
「は。ムスターデ帝国は軍事大国であり、万が一このコンヴィル王国への侵攻を許すとかなり厳しいことになると思われます。今はまだラーフェン王国に抵抗力が残っている間に手を取り合ってラーフェン王国から追い出すことをご提案いたします」
「私からもよろしいでしょうか」
「魔術師団長ジルベール・ラロシェル、聞こう」
「は。確かにラーフェン王国と結ぶことで勝利の確率は上がると思われますが、ムスターデ帝国も魔人と結んでいるとのこと。魔術師団長の私が申し上げるのが心苦しいのですが、ぜひとも魔法に優れた他国との共闘も調整すべきと存じます」
「常備軍だけでは心もとないため、冒険者ギルドからの派兵も協力要請すべきかと」
次々と帝国との開戦に向けた前向きの意見が出されていくなか、国王が右手を挙げたとたんに静まり返る。
「皆の意見は良く分かった。では、各国・各所に協力要請を行いつつ、早急な体制確保に臨むこと。詳細は宰相ボーヴリー、任せる」
「は、かしこまりました」
「で、話を進めようか。お待たせしたな、モーネ王女、先ほどの続きをどうぞ」
「あ、ありがとうございます、ルネスラン・エビナント・コンヴィル国王陛下。どうかラーフェン王国をお助けくださいませ」
泣きながら何とかお礼を言うので精一杯の王女であった。
「先ほどの話をお聞きの通り、我がコンヴィル王国のためでもある。さらに話を進めるとしようか」
「ザール・タンプ騎士爵、前へ」
国王からの目配せに従い、宰相が声をかけ、それに応じてザールが俯いたまま前に進む。
「ザール、面をあげよ。さて、先ほどにも話に出た魔人について冒険者ギルドからの話を聞こう」
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