第183話 王都到着

盗賊と魔人アゼルフスの来襲の後は、少しの魔物との遭遇があった程度で山を越えられ、さらにそこからは何事もなく王都ミューコンに到着となった。


イドたち“ジェロ班”の冒険者たちは初めて見る王都の壮大さに驚いていたが、ジェロは前世記憶もあり普通の対応をしていたことを、アナトマ父娘やユゲット達は物怖じしないと勝手な解釈をしていたことに気づいていないジェロであった。


「ではまずモージャン子爵の別邸に向かうとしましょう。いきなり王城に登城しても対応して貰えると思えませんので」

アナトマの提案にユゲット達が頷いたのでそのまま向かう。

「やはり領主様には王都にも屋敷があるのですね。流石ですね」

「私たちはそのモージャン子爵邸に到着すれば護衛任務も終了ですよね。その後は依頼書にサインを頂いて冒険者ギルドに指名依頼達成の報告に行けば良いのですよね?」

流石に王都の冒険者ギルドが他の街のギルドとやり方が違うと思えず、そういう流れになるのだろうと頷くジェロ。


「止まれ!ここはモージャン子爵の邸宅である。許可のない商人風情が入れる場所ではない!って、ユゲットお嬢様!?これは失礼しました。どうぞお入りください」

「!?」

「はい、皆さん、気にせずにまずはお入りください。後ほど事情を説明します」


馬車3台と護衛の騎馬たちすべてを預け、館の応接室に座る一同。

「ユゲットお嬢様、王都にようこそいらっしゃいました。事前の案内も無く突然で驚いております。こちらの皆様は?」

「事情は後で説明します。いったん席を外して貰えますか?」

「かしこまりました」

応接室まで案内をしてきた執事に対してユゲットが退室を命じている。


「ここからは私から説明いたします」

ジャクロエが立って話し出す。

「もうお分かりだと思いますが、ユゲット様はユゲット・バンジル様、ルベリート・バンジル・モージャン子爵のご息女です」

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