第182話 悪魔ハポリエル
しばらくするとヴァルとハポリエルの会話が終わったのか、ジェロも入れた念話が再開される。
『話はついたわ』
『ってどんな内容に?』
『まずハポリエルと契約はして。もちろんジェロの魂なんてあげることは無く、たまに魔力をあげる程度でいいわ。私のときの契約と違って、使役するだけの上下関係のはっきりした契約よ』
『良いのか?分かった。ハポリエル、たまの魔力提供をするだけの契約をしよう』
『ジェロマン様、かしこまりました。どうぞよろしくお願いします』
『はい、契約は完了ね。後は事情を説明するわ』
ハポリエルは、あまり力の無いヘモスが何とかこの世界に召喚して契約した悪魔であり、悪魔の中でも下っ端であったらしい。この世界で力をつけられると喜んで契約し、しばらくは魂を入手する機会もあり良かったのだが、ヘモスが死んでからアゼルフスに契約を形だけ引き継がれた後はほぼ放置だったとのこと。今回も宿らされたと思ったら罠のため単なる小石に対してであり、さらにジェロに譲られることもヴァルから初めて聞いたらしい。
それを知ったハポリエルは自身への扱いに嘆いたとのこと。
さらに驚く話として、悪魔の本体がある魔界において、眷属という制度があるらしい。ハポリエルは下っ端過ぎて誰の眷属でもない有象無象であり、ヘモスの父の契約悪魔やアゼルフスの契約悪魔グサイモンからも相手にされていなかったとのこと。
逆にヴァルは魔界でもかなり力のある存在のようであり、これを機会にということで、ハポリエルの真の名前、真名をヴァルに伝えることで、ハポリエルはヴァルの眷属になったらしい。当然、アゼルフスとの契約は解除してある。
『だからハポリエルも適当に使ってあげてね』
『そうか。ところでヴァルにも真名はあるの?』
『知りたい?でも真名はこの世界では発声できない音だから』
『なら仕方ないな』
ヴァルがいつでもハポリエルを呼び出せるとのことなので、ヴァルとも相談し、人間には迷惑をかけないよう、日頃はどこかの森の奥などで魔物狩りをして魔力を吸収するなど自己研鑽させることになった。魔界からの召喚の経緯が違うのか、ヴァルと違ってハポリエルは契約者と遠く離れても行動できるらしい。依代が小石のままではかわいそうなので、何か良い物が見つかれば交換してあげる約束もするとハポリエルは泣いて喜んでいた。
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