第175話 山での襲来3

「どうも誰かに金を貰って我々を襲撃するように指示されたらしい」

「依頼主は顔もローブで完全に隠していて男であった程度しかわからないみたいです」

「まぁ商隊の荷やメンバの女性たちも好きにして良いと言われて細かいところは気にするつもりも無かったようだがな」

犯罪奴隷としてどこかの街まで連れて行く方が金になることは分かっているが、王女達に絡むことに関してどこから情報漏洩されるか、また足手まといが増えることでの道中の危険の増加などを踏まえて、この盗賊たちも山中に埋めていくことに決まった。


ジェロは盗賊たちから取り上げた装備に対して≪簡易鑑定≫をかけていくが、ほとんどは低級品であり、中級品だけをより分けていく。

「ジェロさん、目利きも流石ですね」

「いえ、価格までもわかりませんし……」

「それは我々の商売ですからね」

と言ったアナトマが市場販売額と買取額を教えてくれる。短剣や矢のように自分たちでもこれから使いそうなものは各々で分けあうことになったが、護衛の終了の際にアナトマが清算してくれるといい、不用品は買い取るとアナトマが自身の魔法の袋に収納していった。

ジェロは魔法使いが手にした魔法カードだけを望み、魔法発動の杖などはアナトマが買い取ることになった。


幸い別の旅団などに戦闘を見られたり遭遇したりすることも無かったようであるが、何か気づかれても面倒であるので、盗賊たちを埋めることなど後処理を終えた後は、すぐに王都に向けての旅を再開する。


「ジェロさん、誰の依頼だったと思われます?」

レナルマンが聞いてくるが、ジェロとしても

「魔法使いも居た20人規模の盗賊団に依頼するにはそれなりの費用も必要だったはずですよね。自分たちの人数が減ってしまった帝国兵が金にモノを言わせて、怪しい商隊すべてを襲わせているんですかね」

という程度しか答えられない。それも大事と分かっているが、気持ちは入手した魔法カードに行ってしまっているジェロであった。

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