第169話 暗所にて
『アゼルフス、報復はしないのか?』
『そうですねぇ』
『なんかやる気が無いな?ヘモスとか言う弟子も死んだのに』
『いや、弟子ではありませんでしたよ。単に上司の息子を預かっていただけですよ』
『まぁ正直なところ、バカ息子の面倒を見なくて済むようになった感謝はあるだろうが、その分、その親バカからかなりきつかったよな』
『まぁ逃げ帰った私に治療をさせなかった程度ですよ。ようやく自然回復してきましたが』
『怒っているじゃないか。だからヘモスをやった奴の情報、火魔法を使うことぐらいしか言わなかったんだろう?』
『魔人や悪魔の存在を認識していたことは珍しいですが、人探しに役立つ外的特徴ではないですからね』
『ふん、まぁ良いや。ヘモスが使役していた悪魔ハポリエルはお前が契約を引き継いだんだろう?』
『あなたほどの力は無いのでわざわざ召喚する必要性も無いのですが』
『そう言ってやるなよ、あいつもオークダンジョン施策で少しは魂を回収して力をつけたんだから』
『そうは言っても、元々ヘモスが契約できた程度の低級だったので。ヘモスのわがままで、グサイモンよりハポリエルに多くの魂を与えはしましたが、所詮は……』
『だから俺のようには宿り先を用意してやらないのか?それぐらいの力は得たはずなのに』
『魂や魔力の与え先が増えると面倒ですからね』
『ま、俺の取り分が減るぐらいなら、俺がそれだけ働いてやるぞ』
『あなたも後輩の面倒見が良いわけでは無かったですよね……』
『悪魔だからな。で、話は戻すが報復しにあの魔法使いを追いかけなくて良いのか?ヘモスの魂がすぐに無くなったのは、あの火魔法使いが悪魔を使役しているからもしれないのだぞ』
『ヘモスがハポリエルと魂の契約をしていた可能性もありますから、確定ではありませんがね。そうですね、上司に疎まれている今の私の仕事はヘモスの報復だけですからね』
『そうそう、いくら他人に関心が無くても、仕事しているふりぐらいはするんだろう?』
『面倒ですねぇ』
オークダンジョン最奥でジェロとヴァルに火魔法を喰らわされた魔人アゼルフスと悪魔グサイモンが、誰も知らぬ暗所にてジェロたちを追跡することを決断したのであった。
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