第132話 ニースコンからの護衛2

翌朝、レナルマンがラーフェン王国メンバの目を盗み、ジェロやイドなど仲間達に聞いた話を順次共有する。

『魔人!?生き残った奴かな?』

『そうかもしれないし、別人かもしれないわね。どちらにしても敵になると厄介ね』

王女の態度が作られたものという話も気にはなったが、そうであろうがなかろうが、とにかく無事にモージャンまで護衛できればその後は関係ないという思いである。


ニースコンからモージャンへの二日目の昼食休憩の後、街道の後ろからものすごい勢いで何頭かの騎馬がかけてくる。

ヴァルに教えられたジェロが周りに注意喚起した後すぐに、警戒体制として馬車2台を端に寄せて通り過ぎるのを待つ。もし追手だった場合にも迎撃できるように武器に手をかけてこちらの騎馬達が馬車の手前に並ぶ。


5騎のムスターデ帝国兵の鎧姿が目の前で止まる。

「お前達、若い女と小さな男の子を見なかったか?」

「いいえ」

「本当か?馬車の中を見せて貰おうか?」

「お断りします。我々護衛に雇われている者が、身元が確実でない人を信じることはできません。街の入口に実際に立たれている衛兵さんならば信じられますが」

「何!?この鎧を見ても分からないと言うのか!」

「隣国でも無い国の鎧にも見えますが、だからこそ曖昧な記憶です。もし偽物を着た盗賊だったときに我々は雇い主様に責任を取れません」

口のたつレナルマンに言い負けた帝国兵は剣を抜く。

「これでも、と言うのか?」

「やはり盗賊でしたか?本物の軍人なら他国において剣で民間人を脅すことをするはずがありませんよね。盗賊ならば通常通り排除させて貰います」

「何!冒険者風情が俺たちに敵うと?やれ!」


帝国兵の鎧姿を見た時から結果は覚悟していたジェロはヴァルと共に心づもりしていたので、彼らが剣を抜いて攻めかかる瞬間に魔法を発動する。騎兵それぞれに≪豪炎≫である。

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