第96話 ガニー冒険者ギルドマスター2

「何だって職場を離れて訓練しているんだ?事務職員じゃないのか?」

「いや彼は前マスターに許可されているんです」

新しいマスターのドナシアンにジェロが指摘をされたところにメオンがフォローしてくれる。

「なんだそれは。中途半端は皆に迷惑だろう?ん、立派な刀を差しているじゃないか。俺が訓練をつけてやろう」

「いえ、大丈夫です……」

「何を言っている。業務命令だ、来い!」


近接攻撃の訓練場にドナシアンに無理矢理連れられて、叩きのめされるジェロ。少々練習したところでまだまだのジェロが肉体派のBランクに敵うはずがない。

「全くダメだな。何でこんな奴が訓練するんだ?」

「ジェロは魔法使いですよ」

訓練場にいたバスチャンがフォローしてくれる。

「何?魔法使いがこんな体格しているのか。それに刀なんて差して」

仕方ないので弓矢や攻撃魔法の訓練場で≪火槍≫を発動してその威力を見せつける。

「なるほど。ならば魔法の教官になれ」

「いえ、それは……」

「なんだ?じゃあ、訓練場は使わずに事務職員だけしておけ」

「図書室の利用は?……」

「はぁ?そんなのもあったのか。教官でもない事務職員には不要なことだ、却下する」


どうも何かが気に食わない相手と目についてしまったのか、ジェロは事あるごとに新マスターに指摘をされるようになってしまった。ジェロの性格では逆らうこともできず、見るからに元気が無くなっていく。

『ジェロ、もうダメだよ。コイツ、やってしまってもいい?』

『ヴァル、ダメに決まっているだろう……』

『じゃあ魔法の教官になってしまうのは?』

『見慣れない相手に指導なんてできないし、きっと今さら言ったら余計に怒らすよ……』

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