第90話 ギルド訓練場2
「バスチャンさんに、ガニーの冒険者ギルドのご案内をして頂いて、今は訓練をつけて貰うところでした」
「それは良かったですね。ぜひ続きをどうぞ」
「いえ、ジェロさんが刀を使うところも見たいです」
「いえ、これは飾り、お守りです。私は魔法使いですので」
「ジェロ、お前が毎朝それで素振りしているのは知っているぞ。こっち来いよ」
「……バスチャンさん、リスチーヌさんにカッコいいところを見せたいだけでしょ?」
「まぁそう言うな」
「何をお二人で話しているんですか?」
「いや、たいした話ではないぞ」
バスチャンがいつもの得意な大剣ではなく盾と片手剣の木剣という一般的な組み合わせになり、ジェロは刀の木剣、いわゆる木刀を持って対戦形式の訓練になってしまった。
『まぁ頑張ってね』
『人ごとだな』
『そりゃこの依代の刀を壊されるわけではないから良かったわ』
「好きなように攻撃してきて良いぞ」
バスチャンが余裕を見せて言うので、こちらの世界ではあまり無いであろうと思った“小手”で剣を持つ右手を狙って見るが、右手には逃げられた上にしっかり盾で防がれてしまう。意外と素早いバスチャンに“面”が当たると思えず、“胴”も盾を構えた相手にもっと当たらなそうである。
剣道の弱点と思っていた足への攻撃を逆に狙うためにも、上部の“面”ばかり狙う振りで隙をつくことを試してみる。頭部ばかり攻撃しても全て剣や盾で弾かれ、盾で弾いたタイミングで足元へ木刀を振るってみても剣で弾かれる。
「ではこちらから行くぞ」
素早い踏み込みで、盾を全面に出した体当たりをされフラついたところへ、片手剣で軽く胸を突かれる。
「完敗です……」
「まぁついこの前に訓練を始めたばかりなんだから、良く頑張っていると思うぞ」
「バスチャンさん、すごいです!」
リスチーヌにおだてられたバスチャンが鼻の下をのばしているように見える。
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