第72話 ダンジョン付近の探索2

「そろそろ戻るべき時間だし、この時期に新たな洞窟というのは明らかに怪しい」

「いったん戻った方が良いだろう」

ジェロにすると良識的な班で良かったと思いながら、皆の判断を追認するだけであった。


松明など探索の追加物品を調達しながら皆の戻りを待つ。ダンジョン付近に約40人が集まったところでメオンが発声する。

「これまでに何も無かったはずの場所に洞窟が見つかった。今日はまずそこを確認する。洞窟の大きさによっては近くで野営もする」

野営準備を持って追いかけてくる班も用意しながら、ジェロ達の班は先導チームになる。午前に往復したはずの場所を皆で再度進むのであるが、なぜかと思うほどオークとの遭遇率が高い。やはりここはオークの大規模発生の中心地であると思われる。


「よし、では何班かに分けて侵入するぞ。最近の班分けとは違い、基本的には日頃の冒険パーティーを中心に組み直す。流石にダンジョンと思われる中ではいつもの連携が必要だろう」

「ジェロ、バスチャン、今回もいずれかの班に混ざって来てくれ」

「よし、班分けも終わったな。新しく出来たダンジョンであろうから、まずは様子見のため、今日は日が暮れるまでの時間と思われるだけの松明の本数で帰還すること。安全第一で、何かあればすぐに戻ること。いいな!」


ジェロはこの新ダンジョンまでの森を最初に探索した7人のままという班構成で洞窟に潜ることになった。やはりモージャンの冒険者リスチーヌが斥候役として先頭で、ジェロは最後尾でそれぞれ松明を持つことになった。

最初に何班も同時に洞窟に入り、分岐点ごとに班を分けて進むようにしたのだが、途中で班の分割ができないほど分岐が多い洞窟であることが判明する。しかもくねくねと曲がっているため、どこでオークが出て来るか分からない上に、かなり遭遇頻度が高い。

ジェロは初めてのダンジョンではあったが、アリの巣のような洞窟でときどきオークに出くわすが扉も宝箱も無いので、こんなものなのかと少しがっかりであった。

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