第56話 日本刀2

日ごろ見えていた姿が消えたことに違和感はあるが、念話は同じままでそのうち慣れるのであろう。

≪簡易鑑定≫でみてみると中級上位のままであったが、特殊効果がありとなっていた。


『それより、この刀、ジェロは使えるの?』

『うーん、体育の授業でちょっと竹刀を振るったくらいかな』

『何のことか分からないけれど、ちょっとだけということね』

『うん。面、胴、小手だな。漫画の異種格闘でよく指摘されていたのが、古武術で無くなった剣道では足への攻撃が無いことが注意って言っていたな。気をつけないと』

『何のこと?』

『こうやって右手を鍔の下に、少し隙間を開けて左手。茶巾を絞るように。ちょっと素振りをするぞ』


狭い宿屋の部屋内であり思いっきり振り回しはできないが、簡単な素振りをしてみる。前世に比べて筋力もついたはずのジェロの体でも、何となく覚えている竹刀での振り方とは重みが違う。

『毎朝の訓練の時には、この素振りも増やさないとな』

『でもニヤついて嬉しそうね』

『まぁな』



『ヴァル、もう一つ教えて』

『どうしたの?』

『今日のオークへの攻撃、どうして≪火球≫だけにしたの?他にも使えるんでしょ?』

『念のためよ。ジェロが使える魔法だけにしておいた方が、変な問題にならないと思って』

『そうか、ありがとう。じゃ、本当のところで使える魔法は何?』

『そうね、この次元で貰った魔力などを踏まえて、今のところ中級以下なら色々よ。でもジェロが使えないと問題になり得るから使いどころは注意が要るわね。もっと色々な魔法を覚えてくれると遠慮なく使えるから頑張ってね』

『あぁ、また教えてくれな』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る