第48話 オーク被害

森の中を進む街道の先で、馬車3台に対して多くのオークが襲撃している場所に遭遇したのである。


「まずいぞ、オークの襲撃だ。助けに行くぞ」

ガニーからの応援隊の指揮者であるメオンの発声ではあるが、暇で飽きていた冒険者たちも所詮はオークであると、敵の数などを確認もせず突撃して行く。

事務職員であるジェロは御者たちと少し後ろで停車して待機になった。メオンは頭脳派でありそれほど戦闘が得意とは思っていないが、一応は前方に行っているので、バスチャンもそれに付き添っている。その、オークから少し離れたメオン達の近くには遠距離攻撃の弓士や、詠唱や魔法陣を使用した攻撃魔法使いも居る。


少し落ち着いて状況を見られるジェロは、初めての動く実物のオークを遠目に見ながら構えている。噂通り豚のような顔で通常の人より少し大きい太った体付きである。肉が上等な豚肉のようであると売られているのが理解できる。

前の馬車3台の付近を観察すると、どうも商隊のようであり、商人と護衛が居たようである。ただ、護衛はすでにこと切れていて馬車の付近に倒れているか戦闘を継続しているかが見えたが、商人らしき姿の人は生死を問わず見つからない。

『何をキョロキョロしているの?』

『あ、ああ。商人っぽい人が居ないなぁと』

『んー、あ、あそこに居るじゃない』

ヴァルが街道を離れて少し森に入った所を指差す。確かに人影のようなものが少し見える。

もしまだ息があるならば、と思い、御者たちにはここに居るようにと声をかけて1人で人影のところに向かう。

「大丈夫ですか?」

「うー。娘が……」

「ちょっと待ってください」

明らかに切られた感じの大きな傷が背中にあってうつ伏せに倒れていたので、≪回復≫魔法をかける。1回では傷が塞がった程度で、まだ商人らしき人物はうなったままである。もう1回、と思ったところで、女性の悲鳴が聞こえてくる。


『ジェロ、あっち』

商人は命の危険だけはさったと思われるのでそのまま放置して、ヴァルの示した方向に駆け出す。

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