第41話 火球魔法
魔物と対峙する際、弓矢か魔法かどちらかを選ぶように言われると、ジェロとしてはやはり魔法を希望する。せっかく回復魔法など魔法が使えることも分かったので、嵩張る弓矢のような持ち運びの苦労が無い魔法に挑戦することにする。
解説などが書かれているはずの魔導書は貴重なため簡単には閲覧できないが、ジェロは魔法カードのコレクション、そして所有まで至らなかった魔法カードでも研究ノートへ転記したものが存在する。
その中で、詠唱文や魔法陣まで記載があったものから、火魔法の≪種火≫と≪火球≫を選ぶ。
『確かに悪く無いわね。ジェロのカードやノートの中で一番攻撃力が高いのは火魔法よ』
魔導書に比べて魔法カードは解説が不足しているが、ライターやマッチという前世知識で小さな火が出るイメージはしっかりある。また空気中の酸素を使用して燃焼するという知識もある。
そのため、現代魔術の≪種火≫はヴァルによる解説もあり早々に習得することができた。
『属性魔法なのに触媒も使わずに発動できたら、お金もかからずに良いわね』
火風水土光闇の6属性の魔法は、詠唱や魔法陣の他に、魔物素材などから入手できる触媒を補助に利用することもあるが、消耗品であり入手にはお金や手間がかかる。ジェロとしても上手く習得できない時にだけ使うつもりであったが、助かったと思っている。
≪種火≫の次の≪火球≫は、前世記憶の異世界物語などで定番のファイアボールでもあり、突き出した手の前に複数の火の玉を発生させて、それを狙った的や敵に投げつけるイメージはある。また、火は赤色、黄色、白色、青色というように温度で色が変わるという認識もあり、赤色よりオレンジ色や黄色あたりを目指す。さらにろうそくの炎で外側の方が高温なのは酸素が豊富だからであり、ダメージを高めるため周りの酸素をたくさん寄せ集めて高温にすることもイメージする。
ただ、こちらの練習は流石に宿舎の自室ではできないため、休日に街の外の見渡しの良い人のこない岩場で行うことにした。
『ふーん、それも前世の知識?なかなかそんな高温はイメージできないのだけど』
『そうだね。でも発動できたのはヴァルがまた魔術語と魔法陣を教えてくれたから。ありがとうね』
『そんなこと言って、魔法練習ばかりしているから就寝前の魔力拠出が少ないよ』
『どうしたら良いかな』
『ま、手軽な魔物でも狩りに行って貰えないかな』
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