第20話 魔物

翌朝、いつものようにトレーニングをしながらエムのことを思い出す。

いくら成長が早いと言っても、女性の成長期の前後であそこまで変わるとは。


しかし、前世での年齢も足すとかなりな年齢のはずが、おっさんが若い女の子を良いな、という感覚ではなく同世代と見ていることを改めて自覚する。前世の名前を思い出せないように精神的なところはこちらのジェロの人格に引っ張られている影響であろうか。


成長期前の10歳あたりまでの子供体型では異性として意識していなかったが、この世界では15歳で成人となるのだが、そこまでなると大人と変わらない。魔力がある世界だからか確かに早めに成長して、前世より若いまま長生きしている気がする。魔物などの敵対生物や戦争などで突発的に命を落とす機会は多いのだが。

そう言えば、前世では成人が20歳から18歳になったが、正直よく分からなかった。大学以上への進学率が半分を超える、つまり就職もしていない年齢で成人だったのが、更に高校生で成人に、しかし飲酒は不可のままなど。ここの15歳の成人はしっかり就職、自立して飲酒なども行う大人であるのと大違いである。


『何を考えているの?昨夜の女の子たちのことかな』

『いや、この世界の突発死、魔物のことだよ』

素直に肯定できずに変な話をしてしまった。

『ん?魔物?確か前世では居ない存在だったね。単なる獣しか居ないなら安全かな』

『そうそう。ここには魔物が居て魔力があり魔法がある。あちらでは悪魔の実在も信じられていなかったなぁ』

『悪魔を魔物なんかと同列に扱ってはダメだぞ。私の胸には魔石が無いからね!』


そう、異世界物語の定番、魔物も実在する世界である。

動物が過剰に魔素を吸収する、もしくは魔素が溜まったところで自然発生すると言われている。心臓付近に魔石と呼ばれる魔素の集積された宝石のようなものが存在するのが魔物である。この魔石は魔物の種類により色の濃さや形状が異なるが、赤紫色の宝石のような物である。魔道具などで使用して魔素が無くなると無色透明になる。


冒険者ギルドでの冒険者への依頼の多くはこの魔物関係であり、討伐依頼や素材採取依頼の対象となる。もちろん薬草などの採取、盗賊退治、他の街への護衛などもあるが。

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