虐め=?

黒夢

第1話 虐め

 「さぁて今夜の犠牲者は田中くんでーす。この人は僕の給食の味噌汁に牛乳を入れてきましたなので.......今から湖に行って、溺死させまーす」

 警察官という職についてはや30年、色々な功績を上げて今や重要任務を任せられるほどに俺の生活は充実していた。子供も今や独立し、幸せな毎日を過ごしているそんなある日のことだ。久しぶりの休日を一日中動画鑑賞に使う俺もどうかと思うがいつのまにかそれは流れていた。名前を見ると謎の少年と書かれていて、見ると覆面パーカーの男が立っている。椅子に縛り付けられている少年が今回の犠牲者だろうか。

 その動画をよく見てみると滋賀の琵琶湖らしい特徴があったため、今夜行ってみることにした。

                  ※

 僕は虐められていた。だから復讐をしようと思った。先生に虐められていることを話しても信じてもらえなかったから、親も今は忙しいから後でなと言ってまともに話させてくれない。もうだれも信用できなくなった。ただそれだけだ。今夜の初の犠牲者は綿密な計画により、実行される。身元がバレない様に覆面パーカーになり、カメラを持って、最後に田中を誘うだけだ。

 田中はいじめの主犯じゃない。だけど、殺さないといけない。いじめの主犯は最後に殺す方が僕にとって最高のスパイスになるからまずは主犯以外を殺していく。

 なんで動画を残すのか、そんなの決まっているじゃないか。みんな僕の虐められている姿を見ても何もしなかったから、逆にあいつらが殺される動画をみんなに見てもらえば少しは気が済むのかな?自分でも分からないでいる。

 今は夏休み、そして田中は虫取りが好きな奴だった。呼ぶなら深夜を越えた時くらいだろうか。俺は田中に電話をかけた。

 「もしもし?」「もしもし田中くんですか?」

 「あぁそうだけど何?」「今日虫取りしに行かない?」

 「いいねぇ、何時に何処集合?」「深夜0時に僕の家に集合で」

 「了解!」

 完全に油断しきっている。虫取りに誘うことでようやく計画の第一段階をクリアできるところであった。これから僕は.....いや俺は人を殺すのか?いや違う人の道から外れた物を殺すんだ。そう考えたら少しの恐怖も忘れ、ただ、今は独りで笑うだけだった。

                  ※

 動画が投稿されたのは8月20日だった。その動画の名前には8月1日と書かれている。俺はこの動画を捜査一課長に見せたものの身元が分からないのと、遺体を確認できていないため、捜査までに踏み切ることは出来なかった。

 もしもこの湖のどこかに遺体があるのならあの犯人を捕まえられる、すると足元に水浸しの紙が落ちていた。

 うっすらと見えるその紙には、“なんで僕を悪いようにするの?”という不思議な文字があった。あとに何か書いてあるがそれは読めなかった。

                  ※

 田中は時間ぴったりに来た。田中に睡眠薬入りのお茶を飲ませた。そして椅子に手足を縛ってささっと動画を取り、寝ている間に近くの琵琶湖に連れていき、投げる動画を撮って、これで一人は死んだ。これから主犯以外の20人を毎日殺す動画を撮って、事を大きくしよう。最後になんで僕を悪いようにするの?悪いのはあいつらだよというメモを残して、その場を去った。雨風にさらされれば誰にも見られない紙切れに俺はこうするしかなかったのだというメッセージを残したかった。でも世間でいう俺は犯罪者、どんな理由があっても人を殺してはいけないんだろ?なら“人じゃなければ殺していいんだ”次の犠牲者は.........。

                  ※

 さすがに琵琶湖に入ることは許されない。なので次の動画を見ることにした。

 さっきの動画は4時に投稿されていて次の日見ると新しい動画が投稿されていた。削除されないうちに次の動画を見なくてはと俺は慌てて次の動画をタップした。

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