106話 女子同士のベロチュー

 愛とカヨがキスをすることになった。

 魔力補給のためである。


「いいか。妾の舌を吸うのじゃ。舌から魔力を吸うイメージじゃ」

 と愛が言った。


 緊張しながらポクリとカヨが頷いた。


 舌を吸いやすいように愛が舌を突き出した。


「なんじゃ。早くせぬか? せっかくお主のために舌を出しておるのに」

 と愛が言った。


 カヨは微妙に震えていた。


 また愛が舌を突き出す。


 カヨは目を瞑り、愛に近づいていく。

 そして口を開けて、思い切って愛のなめくじのように柔らかくて赤い舌を口の中に入れた。


 カヨは元魔王の舌をチュポポっと吸った。我慢して舌を吸っている。それがちょっとエッチだった。


 チュポン、とカヨが愛の舌を離すと、そのまま愛が倒れた。


「魔力を吸われすぎて動けぬ」と愛が言った。

 

 俺は慌てて愛に近づいて行く。

 抱っこしていた赤ちゃんがウギャーと泣き始めた。

 メイドさんが近づいて来て、赤ちゃんを受け取ってくれた。


 そして俺は倒れている愛を抱き抱えて、彼女に魔力供給した。

 魔力を吸われすぎて力が出ないのか、俺の舌を舐めることしか愛はできない。


 仕方がないので俺の舌を吸いやすいように、彼女の口の奥まで舌を入れる。

 すると赤ちゃんがおっぱいを吸うように、俺の舌を愛が吸い始めた。

 

「ぷっは」と愛が恍惚な顔をしながら、唇を離す。

「旦那様の魔力は美味しいの」

 と彼女が言った。


 どうやら魔力を補給できたらしい。


 カヨを見ると顔を真っ赤にさせて、そっぽを向いている。


 カヨの前で魔力供給をしなければよかった、と後悔した。また嫌われたような気がする。でも仕方がなかった。

 カヨの魔力が無い。だから愛の魔力を渡す。愛の魔力が無くなる。だから俺の魔力を愛に渡す。


「どうじゃ魔力の補給はできたか?」

 と愛がカヨに尋ねた。


「全然、足りないわよ」と小さい声でカヨが言う。


「よかろう。今まさに妾は魔力を補給したばかりじゃ。またお主に魔力を与えよう」

 と愛が言う。


「いいわよ」とカヨが拒んだ。


「なぜじゃ? 魔力が不足しているのだろう?」

 と愛が尋ねた。


「もういいの。魔力が不足していても、しばらくは持つから」

 とカヨが言った。


「そうか」と愛が言う。


 魔力補給も終わり、俺には聞きたいことがあった。銀スラの事である。


「旦那様のレベリングには大量の銀スラが必要だろう。ココに銀スラを持って来るのは大変じゃ。銀スラを飼育しているダンジョンに行ってはくれぬか?」


 銀スラを飼育? なんつーモノを飼育してるんだよ。


「私もレベリングしたい」とカヨが言った。


「よかろう」と愛が言う。


 頭の中でバビリニアとの戦争を想像していた。愛も同じだろう。

 だからカヨのレベリングにも賛成してくれたんだろう。


「騎士団はどれぐらいで育成が完了する?」と俺は尋ねた。


「1カ月」

 と愛は答えた。


「それじゃあ出来る限り仕事を片付けて、銀スラダンジョンに入ろう」

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