小城死すとも自由は死せず

鷹山トシキ

第1話

 パイプベッドを組み立てる、完成し終わりハンパネーとつぶやくキムタク。僕はおかしな夢を見た。

 

 僕は麻薬取引で懲役刑に処されたが、刑務所で経営を学び、出所後は鵺山市で派遣会社を経営し、鹿児島出身の妻、梓と結婚した。息子の生馬が6歳になったある日、梓は友人とレストランへ外出するために、息子を僕の事務所に預けてゆく。ところが事務所に戻ると通り一帯が警察によって封鎖されており、事務所は何者かに爆破されていた。DNA鑑定で、現場で発見された身元不明の遺体が専務の浦部瑛太と生馬のものであると告げられた梓は絶望で暴れる。


 梓は、息子を預けて事務所から出ようとしたときに、事務所の前にスクーターを停めた女性に「スクーターを盗まれないよう気を付けて」と声をかけたことを思い出し、それを警察に告げる。しかし警察は、夫の統に宗教上のテロの動機がないか、移民の麻薬仲間とのつながりがまだあったのか、抗争がなかったのかを尋ねる。梓は夫を悪者にしようとする捜査にいら立つ。

「ご主人はどこに行ったのですか?まさかとは思いますが、匿ってるわけじゃないですよね?」 

 主任刑事の片桐鏡磨は梓すら疑ってきた。

 

 友人で女優の蜘蛛切恵子は梓の相談に乗り、すっかり落ち込んだ彼女に同情してハイボールを渡す。


 数日後、警察が統の周辺を探るために小城家に家宅捜索に入り、ハッキングを行っていたことが見つかってしまい事情聴取を受ける。生馬の遺体を沖縄ではなく鹿児島に埋葬しようとする父親と衝突した梓は、両親に遊びに行くために生馬を預けていったことを責められる。絶望した彼女は首を吊って自殺しようとする。そこに警察から、クーデター組織を運営する若い夫婦を爆破テロ犯として逮捕したという電話がかかる。

 2005年8月の出来事だった。

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