望んでいないのに転生してしまいました。

ナギサ コウガ

プロローグ

プロローグ


 白の世界。

 

 僕の暮らす空間は白ばかりだ。

 

 白の壁。白のカーテン。白いシーツ。白い布団。

 

 髪の毛もいつの間にか白くなっていた。

 とは言っても短く刈っているから分からないかも。


 窓から見える空や木が白くないくらいだ。

 

 見舞いに来る人達も白い服が多い。感染防止のためらしい。

 

 ずっと一人だ。

 

 言葉を忘れそうになるくらい話していない。

 

 体調は一向に良くならない。

 今みたいに物事を考える時間も少ないもの。

 

 ・・・きつい。

 毎日がきつい。

 

 早く楽になりたい。


 どうせこの部屋から出られないんだし。

 

 赤く染まる夕日を眺めながら今も痛みと戦っている。

 今日も気を失うんだろう。

 

 次は目を覚ます事ができるのだろうか。

 いつも思う。

 目を覚まさなければ楽になれるのかもしれない。

 

 こんな僕が生きていく意味はあるのだろうか。

 

 ・・・痛い。

 

 ゆっくりと意識が薄れていく。

 

 次は目を覚ます事が・・できるのだろうか。

 

 それとも楽に・・なれるのだろうか。

 

 

 ふう~・・・意識が薄れていく。

 







 柔らかな感触で目を覚ます。

 

 ああ・・・今日も生きていた・・みたいだ。


 ・・暖かい。

 いつもと違う。

 

 ・・どうして?

 

 光も強い気がする。

 

 ・・・眩しい。

 

 ゆっくりと目を開く。


 あれ?

 

 ・・・知らない部屋だ。

 

 壁は緑色。柱や横木?は茶色で・・・木造だろうか。

 床は板張りで・・白っぽい。

 扉や窓枠は黒。

 カーテンはパッチワークなんだろうか色々な模様だ。・・派手だな。

 

 窓から見える景色は一面真っ青。と、いうか空しか見えない。僕は一階の部屋にいたはずだけど。

 

 そもそもベットが馬鹿でかい。布団や枕はフカフカで気持ちがいい。

 寝ている間に部屋を変えられたのだろうか?

 

 だけど、どう見ても病院じゃないぞ。

 

 いったいどこだ?


 部屋の中を確認しようと体を起こす。

 あっ、と思ったけど。あっさりと体が起きた。

 

 え?あれ?

 起きれた。

 

 自力で上体を起こす。今までの僕にはできなかった事だ。

 ・・・自力で体を起こす事ができるなんて。

 

 一体どうなっているんだ。

 自分の体を確認しようとチェックする。そして愕然とする。

 

 ・・・手がちっさくなっている。すごい可愛い手になっている。

 

 どういう事?


 ま・・・まさか。

 これって・・・・。

 


 

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