一年後ー
お墓参り
「雪那も恭介も保育園に預けてデート何て久しぶりね!」
「夕方までに帰らないとな!」
「そうね!でも、楓も預けた方がよかったんじゃない?」
「駄目だよ!楓は、いいんだ」
そう言って誠は、車を走らせている。楓の名前を決めたのは、誠だった!花言葉に、【大切な思い出】ってのがあるからそれがいい!突然、そう言って決めたのだ。私は、雪那の名前を決めたから…。二人目の女の子は、誠に決めさせたのだ!流れる景色を見つめてると何故か誠は、あの街に戻ってきていた。
「ついたよ」
私は、楓を抱えて車を降りる。
「お墓参りがしたかったの?」
「うん!楓を抱かせて」
「うん」
私は、誠に楓を預ける。
誠は、あるお墓の前で止まった。
「知り合いなの?」
「昔、お世話になった人なんだよ」
「へぇー!そうなんだね」
私は、誠と一緒に手を合わせる。誠は、長い時間手を合わせていた。
「あのー」
70歳ぐらいの女の人に声をかけられた。
「あっ!すみません」
誠は、女の人を見つめた。
「そ、そんな」
女の人は、ボロボロと泣き出してしまった。
「大丈夫ですか?」
私は、ハンカチを差し出した。
「すみません。あの、抱かせてもらっても?」
「構いませんよ!誠」
「うん」
誠は、楓を女の人に渡した。
「お名前は?」
「楓って言うんだ」
「楓ちゃん、可愛いね」
ボロボロ泣きながら、抱き締めている。
「また、会えるかしら?」
「もう、会えないです」
誠は、寂しそうに目を伏せる。女の人は、涙を拭って精一杯笑う。
「そうよね!わかってるわ。ありがとうございます」
そう言って、楓を渡してくれる。
「あの」
「はい」
「どうか長く生きて下さい!そしたら、いつか…。また、会いに来ます」
「楓ちゃんと一緒に?」
「はい、大きくなった楓と一緒に…」
「楽しみにしてるわ」
そう言って、女の人は泣きながら笑った。
「さようなら」
「さようなら」
そう言って、誠は深々と頭を下げる。車に戻ると誠は、楓をチャイルドシートに乗せている。
「もう一ヶ所、行きたい場所があるんだけど…。いいかな?」
「うん、いいよ」
車に乗り込むと誠は、発進する。
「私達の親なんかより素敵な人だったね」
「そうだな」
誠は、前を見つめていた。私は、その横顔を見つめていた。スッーと目から涙が流れてきていた。古い知り合いなんだと思った。私と出会う前の…。
「ついたよ」
そう言われてやってきたのは、一軒家だった。誠は、楓をチャイルドシートからおろす。
「知り合い?」
「うん」
誠は、インターホンを鳴らした。
「はい」
「あの、田辺です」
「あっ、はい」
家から出てきたのは、70歳ぐらいの女の人だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます