幸せな夢

起き上がってスマホを眺めると、13時前だった。結局、さっきの行為は18歳になるまで続いた。初めて、セックスしたのは10歳だった!50万払ってきたのは、同じおじさんだったな!

両親を捨てられなかった。私は、その後、今で言うパパ活ってのをした。半分は、両親にお金をいれていた。それで、29歳で出会ったのがあいつだった。初めはいいやつだった!でもね、結局は蛙の子は蛙にしかなれないの。


雪那が産まれて三ヶ月後にあいつは仕事を辞めた!その理由は、私の父親が金欲しさに現れて、あいつの事を突き飛ばしたからだった。あいつは膝の骨を骨折した。そして、普通に歩けなくなったのだ。


それから、あいつはクズになった。最初は、私がパパ活する形で生計をたてていたけど…。35歳になった途端にいらないと言われてしまった。生活費を稼げなくなって困った私は、どうする事も出来なくなって…。両親と同じ事をした。

でも、一つだけ違っていたのは私には罪悪感が少しだけはあったって事!だから、あの日家から出て、朝型死のうと思っていた。

それで、気づいたら磯部葵に変わっていた。

何故なのか、理由がよくわからなかった。でも、私は今、磯部葵なのだ。


起き上がって、ダイニングテーブルの上の食器を下げに行く。カチャカチャと音をたてながら食器を洗う。


私は、結局小さな頃も結婚して子供が出来ても不幸だった。その連鎖を断ち切ることは、容易ではないと思っていた。両親もまた親から虐待を受けて育った人間だった。母親は、私と同じ事をされていた。

繰り返されるのは、当たり前で、変わりたかったら死ぬしか方法はないものだと諦めていた。

私は、お皿を洗い終わった。

洗面所に行くと洗濯機は止まっていた。中の洗濯物を取り出した。


私は、その場に座って畳み始める。これは、私の思い描いたリアルな夢だったりするのかもしれない。


私は、実は、あの橋の欄干から落っこちていて走馬灯を見てるだけに過ぎないのかもしれない。


それなら、それで構わない。少しでも、幸せな夢を見れるなら悪くない。


これは、最後に神様がくれたプレゼントなのかもしれない。だったら、存分に楽しみたい。だって、私の人生にこんな幸せな日はなかったのだから…。


洗濯物を畳み終えて、寝室に持って行く。二人分の洋服が入るだけのタンスにそれをしまった。


千秋さんの奥さんを死ぬ間際に演じよう。普通の暮らしを死ぬ間際に経験したかった。だから、少しだけこの場所にいよう。

どうせ、短い夢なのだから…。服をしまってから、キッチンに向かった。冷蔵庫の中を見つめる!今日の晩御飯は、何にしようかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る