彼女1ー1
幸せの始まり
「今日は、俺が朝御飯作ったんだよ」
そう言って、和定食が並んでいた。
「わぁー!美味しそう」
「よかった!いつもは、つまんなそうにしていたから!」
「私が?何で?」
「やっぱり、赤ちゃんが欲しいって泣いてたろ?ほら、先月で結婚して、15年経つけど出来なかったから」
子供がいないの?何て、幸せな人生なの!
「そうね!やっぱり、寂しかったけど…。今は、大丈夫よ!」
私は、葵さんのフリをしながら悲しそうにしてみせる。
「それなら、よかった。ずっと、心配だったから」
優しい夫と素敵な戸建て、凄く静かで、綺麗じゃない。これが、嫌だなんて、変わった人。ご飯が食べ終わると夫は、出勤する。
「いってらっしゃい」
「7時には帰るから、ゆっくりしてて」
「わかった!気を付けてね」
「うん」
夫である彼がいなくなって、私は家の中を探る。
届いてある手紙を見つめる
寝室にあるドレッサーに日記がある。中を捲る。
【ちーちゃんは、二人で生きていこうと笑ってくれる。でも、39歳。もう、ラストチャンスだと思う。なのに、妊娠出来なかった。治療を継続するのは、不可能だと言う言葉に!医療は、100%じゃないのを知った。赤ちゃんが欲しい、赤ちゃんが欲しい。私の赤ちゃんが欲しい】
赤ちゃんが、欲しかったのね!葵さん。
私は、日記をドレッサーにしまった。
「39歳かぁー。4つも老けちゃった。でも、私なんかより綺麗!!凄く綺麗」
鏡の中の磯部葵の姿に触れる。願いが叶うなんて思わなかった。煩わしい子供とあいつを捨てれるなんて思わなかった。
私は、ベッドに横になった。ゆっくり目を閉じる。
これから、幸せなのね!私。嬉しくて叫んでしまいそうだった。でも、我慢しなくちゃ!
左手の薬指を見つめるキラキラとダイヤモンドの指輪と結婚指輪が光ってる。
「これ知ってる!エタニティってやつ!綺麗」
起き上がって、さっきのドレッサーの真ん中の引き出しをあける。色とりどりのジュエリーが並んでいる。
「これも、これも知ってる!小さな頃に、雑誌でみたもの」
私は、指輪やイヤリングやネックレスやブレスレットに触れていく。
凄くお金持ちじゃないのはわかる。でも、二人だからきっと使えるお金が多いのがわかる。私は、引き出しをしまった。
立ち上がって、リビングに行く。
そこに置いてある鞄をとる。
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