第11話 また会う時まで

 ねえ、ノブコ

 そちらの天気はどう?

 やっぱり ずっと晴れなのかな?

 こちらはね、ずっと雨が降ってるよ

 洗濯物が乾かないから、いやになっちゃう

 

 あれからどれくらい経ったのだろう

 十年くらい?

 私も年をとったよ

 あっという間にアラフォー世代だ

 家と職場を行き来するだけの生活をしているよ

 

 この前久し振りに街へ出てみたら

 以前あなたと一緒に行ったお店が

 いつの間にかなくなっていたんだ

 そして、新しいお店に変わっていたんだよ

  

 あなたとの思い出の場所がだんだん消えて

 あなたの知らない場所がどんどん増えてゆく

 

 気になるお店を見つけたら

 ついあなただったら覗くだろうかと

 つい考えてしまうんだ

 

 話題に上がっていた例の駅と駅の間

 途中道路の陥没事故があって工事期間がのびちゃったけど

 来年にはとうとう開通するんだってさ

 あっという間だよね

 

 新しいお店がどんどん増えてゆく

 新しい電車もどんどん開通する

 

 あなたはもういないというのに

 時代は次から次へと、塗り替えられてゆく

 

 時の流れってさ 待ってくれないよね

 何か残酷だと思わない?

 

 ねぇノブコ

 いつになったらあなたに再び会えるのかな?

 え? まだだって?

 こんなに会いたいのになぁ

 

 遠い未来のどこか また出会うその時まで

 私のこと、忘れないでいてね

 

 大好きだよ ノブコ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る