美しさを求め

@gnbr

第1話 プロローグ 1

 [なぁ、この世界の美しさってなんだ]


そう呟いたのは、ある2つの写真の前で佇む40代後半の男だった。

彼の名前は佐城こうじ。そして、写真の中で笑う大人の女性と、まだ青年と呼ぶであろう2人の写真があった。その写真はまるで、美しい物を探し出し嬉しさのあまり笑ったかのような表情だ。

彼の人生は特に何かあったわけではない、普通の人生を歩んだ。ありふれた高校時代を送り、ありふれた大学に行き、20歳で妻と結婚。25には子供が2人できた。両方男の子だった、

 

 だが、妻は32歳のとき持病が悪化し、他界。妻が他界してから、一人で息子たちを育てた。


…………………………………………………


それから数十年たったある日1本の電話がなった。


「すいません、佐城さんのお宅であっていますか」


見知らぬ声だった。「はい」と答えつつ妙な胸騒ぎがこうじを襲った。

すると、「落ち着いて聞いてください」と答えた。

その返しにこうじは、死んだ妻のことを、思いだした。


妻はいつも通り仕事へいき、私が息子たちが出ていったことを確認して仕事に行った。

いつも通り仕事していると、会社に私宛の電話が入った。そして…伝えられたことは、

「持病の悪化で彼女が死んだ」

というものだつた。



まるでそのときのような言葉だった。そうそれは妻が死んだときと重なり


「息子さんたちが、心肺停止で病院に搬送され、死亡が確認されました」


というものだった。

病院の名前を聞き、飛ぶように病院に駆けつけた。真っ白の頭で病室に入り…息子たちの冷たい身体に抱きついた。


葬儀などが終わった。


小鳥の鳴き声 葉が擦れあった音 などの自然な音が聞こえる自宅のリビングにいるこうじが見つめる先には、写真が置かれてある。

心の余裕がなく。喋る気力もなく。ただひたすらに憔悴仕切っていると誰から見てもわかった。

息子たちが自分よりも早く死ぬ。そんなことないと思っていた。まさかこんなことになるなんてと絶望していた。最初は幸せな毎日、およそニ十年前妻が死に、そして、今年息子たちが死に。親戚が話しかけても相槌を打つだけになった。


ありふれた人生の道からこぼれ落としてしまった3人の家族。否、これもありふれている、人生なのだ。

家族の仲は良かった。だからこそ反動がでかい。

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