第11話 それじゃ、行こう
愛空街には建物が多くあるのに人がいない。
落ちつく。
人は苦手だ。
七は広場の噴水前で眠る。
「はあ………人いない……」
そこへと優衣が話しかける。
「七様。地面痛くない?」
「はい。優衣さん。ここは落ちつきますね。」
優衣は隣に座る。
「あの、七様。あなたはどうしてここを望んだの?」
「私、人といるの苦手じゃなかったんです。誰とでもいようと思えばいられたし、他の人も結構色々助けてくれて………でも……私は…段々分からなくなってきたんです」
「何を?」
「自分が何を考えてるのか」
「……………それから?」
「迷子です」
「迷子…………」
「分からなくなって、聞き方も分からなくて迷子なんです」
「そう。でもそうはいかないよね?七様」
「はい。考えました。どうしたらいいか」
「うん。」
「今も分からないんです。何もかもが」
優衣はビシッとデコピンをする。
「それはだめでしょ?ほら、戦いに行くよ」
「……あ。はい」
優衣は七の手を握る。
連れて行くが。
「は!戦い方分かんないです!」
「とにかく見てて。危ないからね。死ぬことはないけど、痛いから」
「はい……分かりました」
七は何もかもがよく分かっていない。
分かりたいのに。
分からない。
自分が何を考えているのかも。
自分が本当に自分なのかも。
分からない。
迷子だ。
七は迷子だ。
感情のない迷子。
心のない少女。
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