第2話 世界一全うかもしれない婚約破棄


 いせかーい、異世界の事でした。

 あるお城に、王子様とお姫様が住んでおりました。



 それはある日、お城で開かれたパーティーで起こりました。


 この王子様とお姫様、18歳になったら結婚する約束をしていたのですが、あろう事かその婚約を、皆が見ている前で破棄すると言い出したのです。


 そして右手に新しい婚約者を抱くと、新規に結婚宣言まで致しました。



 当然城内はざわつき、参加者達の目線はお姫様一点に集中します。



 勿論、婚約破棄された側は黙ってはいられず理由を問いただします。


 すると、こう返されました。



 お前は生粋の浮気者である、勉学にも励まない、更に浪費癖もある。他に上げたらきりがないと……



 お姫様は、これでもかというくらい王子様に動かぬ証拠を突きつけると、扉に向かって勇ましく指を差し、王子様に城から出て行くように命じました。



 ……そう、この国で権力を持っているのは女性の方だったのです。



 城を出て行くように言われた元王子様は、力なく肩を落とし、だらしなく城を後にしました。



 お姫様は、新しい婚約者をお姫様抱っこすると、城内からは割れんばかりの拍手が沸き起こります。



 ……え? 新しい婚約者をお姫様抱っこして大丈夫なのかって? それには何の心配もありません。

 だって、相手もお姫様なのですから。


 そしてふたりは上手く国を安泰に導き、養子をもらうと末永く幸せに暮らしましたとさ。




 めでたし、めでたし

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る