第236話 AI ②

【嵐side】


「えーあい ? AIか。 将棋やチェス、ゲームの敵キャラに使われている奴だな。

 そういえば、ベル妖精もAIだったような……」


「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!

 ボク、参上 ! 最近はゲームもしないし、ボクのことを忘れてしまったのかと思ったよ、嵐 !」


 俺のスマホからベルが飛び出してきた。


「おい、嵐 ! 女の子の声が聞こえたが、まさか部屋に連れ込んでいるんじゃないだろうな !

 羨ましいぞ、こんにゃろう !

 蝶子ちゃんに言いつけるのが、嫌なら俺にも紹介しろ、嵐 ! 」


 こけるのアホが盛大に勘違いをしている。


「ああ、紹介くらいならしてやるから、続きを話してくれ。

 AI政治家って、何なんだ ? 」


「約束だぞ、絶対だからな !

 話しの続きだが、中国共産党の首脳部が自分たちだけで政治を独占する為に、自分たちの補助的な役割をしてもらう為に導入したらしいが、アッ と云う間に権限を取られた上に、過去の自分たちの悪事や富の独占を理由に拘束されたみたいだな。

 裁判も秘密裁判で、どんどん裁かれているようだ 」


 スゲェなAI !


「それなら、日本は大丈夫なのか ?

 日本も、いろんな所にAIが導入されているんだろう 」


 ベル妖精を見て思うが、普通の人間みたいな反応をするから忘れてしまうが、AIなんだよな、ベルは。


「ああ、それなら大丈夫だ。

 日本の老害政治家や世襲政治家は、自分たちの理解出来ないシステムは否定するからな。

 それに、元々、政治の細かいことは、優秀な官僚に丸投げして政策を決定しているから、AIを政治に導入するなんて無いだろう 」


 目線でベルを見ると俺の疑問を感じ取ったのか、


十常侍じゅうじょうじ総理って、覚えているかな、嵐。

 彼なんかは、財務省の言いなりで増税案を丸のみしていただけじゃ無く、人材派遣会BAKAMEグループの二宅にやけ平治郎へいじろうと結託して国の事業の中抜きをしたり、カルト教団財務真理教の信徒だったりで最低の総理だった人を 」


 もちろん覚えているさ。

 息子を秘書にしたけど、その息子が問題行動ばかりするせいで支持率を落としたのが、ケチの付け始めで、どんどん人気が失くなったんだよな。


「十常侍総理も最初にAIを導入しようか検討したみたいだけど、自分たちの悪事がAIに管理されるのを恐れて反対に回ったんだよ 」


 なるほど、AIは忖度そんたくなんて、してくれないからな。


「 可愛らしい声だな。彼女の名前を教えてくれよ、親友 」


 現金な奴。 めんどくさいので、ベルに電話を変わってもらった。


「お嬢さん ! 声も素敵なので、是非、テレビ電話に切り替えてお姿を拝見したいのですが、お願いしゃーす ! 」


「う~ん、どうしようかなぁ~。

 キミ、嵐のライバルなんでしょう。

 だったら、嵐の相棒のボクにかまってて良いのかなぁ~ 」


「そんな、ライバルだなんて !

 僕と嵐くんは、なんですよ !

 ですから、是非、貴女とお近づきに成りたいなぁー、僕は~ ! 」


 落差が、落差がありすぎるぞ、こける !

 陰陽師の時のこけるとプライベートの時のこける。

 どちらも同じ人間なのに面白すぎるぞ、コンニャロウ !


「じゃあ、ちょっとだけだよ。

 嵐の親友なら、特別サービスでボクの写メを送ってあげる。

 その代わり、嵐とは仲良くするんだぞ !」


 パシャ !


 あーあ、ベルの奴、知らないぞ !

 こけるは、ベルのことを知らないから、AIで姿もデーターに過ぎないことを知ったら、どうなることやら。


「うぉぉぉぉー、これはまたスゲェ美少女だ !

 嵐、ズリィぞ ! お前ばかり美少女とお知り合いで ! 」


「そうでしょう、そうでしょう !」


 褒められたことが嬉しかったのか、ベルがいろんなポーズを取っている。


「僕は道頓堀こける。一緒にお茶しませんか ?

 デートなど、してもらえたなら、僕は絶対に損はさせませんぜ ! 」


 ボソッ (こんにゃろう~、海里に言いつけてやろうか。 ベルは渡さんぞ)


 俺のつぶやきが聞こえたのか、ベルがニンマリして、


「ボクはベル。 ざ~んねん残念でした。 ボクは嵐の相棒だから浮気はしないんだ。

 こけるは、恋人がいるんでしょう。

 ダメだぞ、彼女を大切にしないと ! 」


「イヤ、海里は恋人とか、そういう仲じゃ無いんだが、誤解しているよ !」


 フフン、ざまぁ ! フラレてやんの……


 その時、スマホから聞いたことのある声が聞こえてきた。


「楽しそうですねぇ~、道頓堀こける君と大江戸嵐くん。

 私も混ぜてくださいよ 」


 于吉の声がスマホから聞こえたと思ったら、画面が切り替わり、そこには……


「海里ー ! てめえ、于吉、海里に何をしやがった !」


 気絶しているのか、グッタリしている海里が映しだされていた。

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