第229話 陰陽師か保育士か ③
【嵐side】
蘇我入鹿の悪霊を前にして堂々と立っている、こけるは確かに陰陽師としてカッコ良かった。
悔しいが、認めざるをを得ないな。
「臨、兵、闘、者、皆、陣、烈、在、前
怨霊退散 ! 」
こけるが九字を切ると何かが入鹿の悪霊に飛んで行きダメージを与えるかに見えたが、入鹿の悪霊はギリギリで蛇武の身体から離れてダメージを避けた。
こけるの霊力を恐れたのか、悪霊はこけるから目を離せ無いでいる。
よし、
「やいやい、へっぽこ悪霊の入鹿さんよぉ~
俺の歌を聞けぇー ! 」
スマホに録音してあるミュージックを流して歌う準備をした。
♟♞♝♜♛♚
【こけるside】
嵐のアホは何を考えているんだ ?
突然、黄金のマイクを取り出しスマホでカラオケのようにして歌い始めた。
俺も海里も蘇我入鹿の悪霊でさえ、呆気に取られてボー然としてしまった。
微妙に上手いのが腹に立つ !
ふと、海里を見ると ジェスチャーで合図をしているのに気がついた。
そうか ! 嵐の奴は、悪霊の気を引いてくれているんだな。
まったく、解りにくいサポートをしやがって !
しかし、これはチャンスだな。
「掛まくも
入鹿の悪霊の上に根の国への扉が開き入鹿の悪霊を吸い込み始めるが、入鹿の悪霊は抵抗して なかなか根の国に吸い込まれない。
霊力を練り直ししている間に奴に逃げられてしまう為に今の呪法は解けない。
クソゥ、あと一手、あと一手が欲しい !
海里の霊力だと力不足だし、蛇武は
── カッ カッ カッ ! 無駄 無駄 無駄 !
我が憎しみを簡単に封じられてたまるものか !
まずは、危険な貴様らから排除してくれよう ──
ここまでなのか、俺は!
あきらめかけた時に式神が見えた。
「爪が甘いわね、こける君 !
やっぱり、まだまだ独立なんて早い証拠ね 」
俺の上司様の姿があった。
「残念だけど、わたしではパワー不足ね。
さっさと霊力を練り直して、切り札を出しなさい !
出し惜しみしていたら勝てる物も勝てないわよ 」
姫子さんの式神、十二神将。
霊視能力がある
パワー不足なんて言っているけど、これだけ強力な式神を使いこなす姫子さんは充分に凄い陰陽師だ。
相手が悪いだけで普通の悪霊なら敵無しだろう。
ただ、複数の式神を出して居るのは大変らしく、霊力がガス欠に成り易いのが欠点なんだが……
「まだなの ? 冗談で無くマジでガス欠に成りそうなんだけど! 」
五体、否 ここに来るのに
まだ 未完成だが、姫子さんに憧れていた俺も取って置きの式神と契約している。
まだ、二体だけどな……
よし、霊力が溜まったぞ。
ベリ ベリ ベリ !
蘇我入鹿の悪霊が、こちらの策に気が付いて強引に自分の身体を分離して逃げようとしていた。
くっ、召還するのが間に合わない !
もう少し、もう少し、時間が……
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