第223話 合コン ③

【由利凛side】



 ついに来た。

 この合コンは邪魔をして失敗にしてやるのじゃ!

 今回は天音お姉ちゃんも協力してくれたからミッションコンプリートする、して見せる !

 会場であるレストランに潜入しているけど、逆にレストランスタッフが妾たちに気を使っているのは、大江戸グループ傘下のレストランと云う理由というよりは、スタッフの多くは、お母ちゃん由利子先生の教え子だからなのじゃ。


 巧お兄ちゃんヘパイストスに作ってもらった超高性能小型ビデオカメラを、お母ちゃん由利子にバレないように仕掛けて、妾達はスタッフルームから監視することにしているのだけど……


「うひゃぁ~、由利子先生、わかーい若い ! わたし達が学園時代の頃から変わらない処か、ますます美人に磨きがかかっているじゃな~い !

 天音ちゃんも、赤ちゃんの頃に会わせてもらったけど、潮来家は美人の家系なの ! 」


「うんうん、合コンが終わったら突撃して、是非にも若さの秘訣を教わらないと ! 」


「よせよせ、どうせ『日々、鍛練たんれんあるのみ、健全な精神は健全な肉体に宿る』とか説教されるだけだぜ…………でも、久しぶりに聞いてみたい気がするな、由利子先生の説教 」


 お母ちゃんの教え子、妾たちの先輩たちは別のことで盛り上がっていた。


「むー ! むー ! むー ! 」


 縛り上げられた、嵐お兄ちゃんが口を塞いでいる布越しに文句を言っているけど、スルーするのじゃ。

 今回は失敗は許され無い !

 だから不安要素のある嵐お兄ちゃんを、真っ先に捕縛した。


「いくら、此方から誘ったとは云え、女性をこんなに待たせるなんて最低だわ ! 」


 明日菜ちゃんが怒っている通りに、相手の男性達は来ずに、先に来ていた 野呂井のろい未紗みさ浦見うらみ益代ますよ阿久間あくま彩子さいこ

 先生達は焦り始めていたのじゃ。


「第一印象は最悪ね。

 由利子おばさまは 時間に厳しい人だから、魔女ッ娘先生三人組は連絡しようとメールやRain、電話をしているけど通じていないみたいだし、相当にいい加減な連中みたいね 」


 英里香ちゃんも明日菜ちゃん程では無いけど、イラついている。


「由利凛がハッキングした情報に寄ると、相手の男性達は 五菱大阪USO銀行のエリート行員みたいだよ。

 嫌味粕郎かすろう強奪ごうだつさぎ潤累虎うるとら満太郎まんたろうの三人と一人は人数合わせで連れて来られた、正義の味方・探偵社の仮面田かめんだ電王でんおう……

 それにしても遅すぎるけど、何か有ったのかしら ? 」


 恵利凛が心配しているけど……

 天音お姉ちゃんが、薄く笑っていたのが気に成るのじゃが、聞くと恐いので聞けなかったのじゃ。

 いつもニコニコ笑っている天音お姉ちゃんとは別人みたいだったけど、まさか……ねぇ。



 ♟♝♞♜♚♛


 一方、 未紗みさ益代ますよ彩子さいこの三人は焦っていた。


〖どうするのよ ! 由利子先生の機嫌が急上昇で悪く成っているわよ !

 隣の私の身にも成ってよ 〗


〖そんな事を言っても連絡がつかないんだから仕方ないじゃない !

 Rainも既読がつかないし、本当にどうしたのかしら ? 〗


 益代と彩子は通信魔法テレパシーで会話をしていた。


 カァー カァー カァー !


 外でカラスが大きく鳴き始めると未沙は、


「すみません、お手伝いに行ってきます 」


 と言いながら席を外してしまったが、益代も彩子も『逃げたなぁー ! 』などとは思わなかった。

 何故なら、あのカラスは未沙の使い魔だったからだ。


 まもなく戻った未沙は、


「今、連絡がつきました !

 男性達は急に体調を崩したので、今回の合コンはキャンセルするそうです。

 由利子先生、せっかく来て頂いたのにすみません。

 蛍先生もゴメンなさいね 」


 由利子と蛍が帰った後、本当のことが未沙から益代と彩子に語られた。


「呪いよ、それも強力な呪い !

 わたし達には手が余る呪いだから手を引くわよ。

 幸い、警告みたいで 男性達への呪いは『トイレとお友達』みたいだから、同じ目には遭いたくないでしょう……」


 三人は顔を青くして会場を後にした。


 いったいなのか、謎は深まるだけだった……



 ♟♞♝♜♛♚


 その様子を見ていた、元女神たちは顔を青くして震えていた。

 もしかしたら、心当たりがあるのかも知れない。


「ぷはぁー 、やっと取れたぜ !

 お前ら、兄貴を何だと思っているんだよ !

 蛍の合コンが失敗したことに免じて許してやるが、もう二度とヤルなよ ! 」


 どうやら、嵐は全く気がついていないようだった。

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