第167話 モテ期 !…………それとも……
【嵐side】
死兆星が見えた…………気がする。
そう、きっと夢だったんだ。
まさか、風邪の熱で悪夢を見るなんて、
何故か、身体のあちこちが痛むが風邪による関節痛、筋肉痛の類いだろうか ?
教室に入ると、カップルが増えていた。
フッ、
春に成れば、蛍が先生に成って逢えるから寂しくなんかないわ !
ムニュ
「私達もラブラブしよう、嵐くん ❤️」
蝶子が急に腕を組んで来た。
「そう、そう、蛍先生なんか忘れて若い私達とラブラブしようね、嵐くん ❤️ 」
「若さが一番だよ、嵐くん ❤️ 」
星華や秋穂までが抱きついてきた。
なっ、なっ、なっ、いきなり何なんだ !
「 俺は蛍一筋なんだよぉー !」
「「「大丈夫、私達が蛍先生を忘れさせてあげるから ! 」」」
三人が俺にキスをしようとする。
抱きついている三人を振りほどこうとしても三人の力が強くて振りほどくことが出来ないだと !
「ウワァァァァァァ 、ヤメレェー ! 」
布団から飛び上がり、周りを確認すると俺の部屋だった。
「夢……だったのか ?」
自分の頬を強めにつねると、
「痛ッタタタ、良かった !
やっぱり、アレは夢だったんだな。
まったく、とんだ悪夢だぜ ! 」
そう言えば、何で俺は寝ていたんだ ?
身体中が痛いんだが、記憶が跳んでいるのか思い出せない…………まっ、良いか。
思い出せないと云う事は、大した事では無いんだろうからな。
「ウニャァ~、ニャア ニャア ニャア ニャア ! 」
何故か、惣菜 兼 肉屋のメンチカツが居た。
メンチカツと言っても猫だからな !
そうか、さては お前が布団に乗っていたのか。
道理で金縛りみたいに身体が動かなかった訳だな。
メンチカツを持ち上げようとしたら、
「重っ ! ……
子犬より大きな猫メンチカツは、猫とは思え無い程に重かった。
「ブミィ~、ニャア ニャア ニャア ! 」
ウチの猫たちは冷たいが、半ノラ猫のにゃんゴローやウッシッシ、オハギと肉屋のメンチカツは俺にも懐いていて、たまに遊びに来るんだよな。
そう言えば、肉屋の洋子さんから聞いたけど、メンチカツの祖母はメインクーンと云う巨大猫だと言っていたな。
メンチカツを下ろしてリビングに行くとメモが置いてあり、
〖嵐へ
スマナイ、やり過ぎた。
私のオゴリで好きなモノを食べて良いから、ネコヤのオッチャンの店から出前を取ってくれ !
潮来 由利子より 〗
…………思い出したぁーー !
由利子オバチャンにお仕置きされて気絶したんだな、俺は。
よし、それなら遠慮なく注文するとしよう。
久し振りに家電話に登録してあるネコヤに注文した。
……ネコヤと云うのは店の名前では無く、
アノ店はノラ猫の最後の砦みたいで、常時 数匹のノラ猫が居る。
まあ、この辺りはネズミが多いから文句を言う奴は居ないけどな。
ピンポーン ♪
「は~い ! 」
来た、来た、 俺の特上鰻重、う巻き にマグロの刺身、竜田揚げ !
食べて体力をつけて、明日は学園に行かないとな !
メンチカツにウチの猫たちにやるネコ缶をプレゼントしてやると夢中で食べ始めた。
テーブルの上に料理を並べてから、まずは特上鰻重の蓋を開けると、フワリと旨そうな匂いがしてきた。
関西はそのまま焼きはじめるけど、関東は一度蒸してから焼くからフワフワになるらしい。
一口、箸で持ち上げて口に入れると甘辛いタレの鰻とご飯が一つに成り口の中いっぱいに広がった。
「旨いぞぉー! 」
口や目から光線は出さないが、本当に旨い !
鰻も三枚も乗っていて食いでがあるな。
付け合わせのお新香を、ポリポリと食べる。
次は、マグロだな。
キラキラしたマグロの切り身に少しワサビを載せてから少し醤油につけて口の中に入れた。
「 マグロが口の中で溶けただと ! 」
う巻きも竜田揚げも旨くて、気がついたら全て俺の腹の中に収まった。
「フー、食った、食った、腹がいっぱいだな。
さて、もう一眠りするか 」
同じように食べ終わり、毛繕いをしているメンチカツを抱き枕にする為に一緒に布団に向かう。
メンチカツの毛もフワフワしているから良い抱き枕に成るだろう。
今度は、良い夢が見れそうだな !
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