第140話 チキチキゴーカート超レース ③

【嵐side】


 まだ皆は、それぞれのプライベート空間でレースの練習をしているハズ。


 相棒と云ってもマスコット扱いでカートの性能には関係無いハズなんだが…………本当なんだろうな !

 今回は、真面目にチュートリアルをしたんだから、変なオチは要らないぞ !


「ウジウジ考えるなんて、嵐らしく無いぞ !

 当たって砕けなよ ! 」


「ポコッ、ポコッ ! 」


「当たって砕けて、たまるか !

 …………今、ゴーカートがしゃべらなかったか ?」


 空耳アワー……じゃ無く、本当に聞こえて来たんだが、


「タヌキチも一緒にコンバートしたからね !

 後、タヌキチはアップデートしたから、簡単な会話ならボクが通訳することで成立するよ ! 」


 嬉しいと云えば嬉しいんだが、カッコいいカートに乗るつもりだったのに、やっぱり俺はお笑い枠かよ !



 ♟♞♝♜♛♚


 スタートダッシュは良かったもののカーブを曲がりきれずににスピンしてしまう。

 当然、後続から来たカートに抜かされてしまった。


「なんぴとたりとも、俺の前は走らせねぇ !」


 急いで体制を戻して追いかけるも、なかなか追い付けない。

 やっと近付いたら、前のカートからバナナの革が投げ込まれて、またスピンしてしまった !


「汚えぞ、運営 ! 」


 そう毒づく俺に、ベルがヤレヤレと言った感じで説明してくれた。


「レースの妨害も このゲームの戦略の一つだよ。

 単純に相手のカートに体当たりするだけで無く、さまざまなアイテムを使いこなさないと勝て無いよ、嵐 」


 悔しいが、ぐうの音も出ねぇ !


「よし、もう一度だ !

 まだ、1度も1位が取れて無いからな ! 」


 せっかく、ヤル気満々なのにベルの奴は、


「アレェ、嵐の世界の偉い人が、

『一番じゃなきゃダメですか ? 2位じゃダメなんでしょうか?』

 と言った人が居るんでしょう」


 確かに聞いたことがあるが、


「結果が、そう成ったらの話だ !

 始めから負けても良いなんて考える奴は、最初から試合放棄しているモノだろう ! 」


 そう云い放ち再びカートに乗ろうとしたら、


「しょうがないなぁ~、最後までボクが付き合ってあげるよ !

 嵐の諦めの悪さは、結構 気に入っているからね ! 」


 何か、その言い方、俺がダメな子みたいで嫌なんだが……



 ♟♞♝♜♛♚


 そこそこ自信が付いたので、仲間内だけでレースをすることにした。


 色違いくらいで、皆が初期練習用ゴーカートに対して、俺のタヌキチ型ゴーカートに皆がガン見している。


「 フン、笑いたければ、笑ってくれや ! 」


 俺が、開き直って言うと


「「ワッハハハハハハハハハハハハハハ ! 」」


 巧とロッキーが腹を抱えて笑ってやがる。

 一方、妹たちや星華たちは タヌキチカートを見て、


「「「「「「可愛いー ! 」」」」」


 意外と好評だった……

 明日菜や英里香はベルと密談をしているが、何か企んでいるようで恐いんだが……


 皆の相棒は動物や獣人が多いようだが、由利凛の相棒に目が止まった。


 何処かの魔王の相棒に似ただ !


 俺が、その犬を見ているのに気づいた犬が悪そうな顔で、


「シッ シッ シッ シッ シッ シッ ! 」


 笑いやがった !

 由利凛に名前を聞こうとしたが、止めることにした。

 大丈夫だろうかごめんなさい知らないからな怒らないでね



 ♙♘♗♖♕♔


 ピッ ピッ ピッ ピィーン !


 レースが始まると共に、ロケットスタートをしようとしたら、巧とロッキーがバナナの革アイテムを俺のカートに投げ込みやがった !


 スピンした俺のカートを横目に皆がスタートしている。


「やりやがったな !

 ベル、アイテムの準備をしてくれ ! 」


 俺は、カートの運転だけで手一杯の為にアイテムの使用をベルに頼んだ。


「迎撃ロケットを準備したよ、嵐 ! 」


 流石、ベルは最高の相棒だぜ !


「ターゲットは、巧とロッキーだ。

 発射ファイエル! 」


 タヌキチの口が開いて、迎撃ロケットが二人を追いかけた。


 ドッカーン 💥


 巧とロッキーのカートに命中して二人が吹き飛んだ !


 これで二人はリタイアだな。

 先を行く妹たちを追いかける!


「なんぴとたりとも、俺の前は走らせねぇ !」


 後ろで茫然ぼうせんとしている二人を想像しながらマシンカートを走らせる、俺カッコいい !



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