第90話 嵐のごとく Ⅴ ⑦

【嵐side】


 敵の本体であろうサハギン半魚人ハーピー鳥人間が現れた。


 サハギンはトライデント三叉(みつまた)のやりを持っていて臨戦態勢を取っている。

 ハーピーは空から攻撃をするつもりなのだろう。

 手足の爪をニギニギしていた。


 パァン !


 最後尾に居たハーピークイーンらしい個体がエデン英里香に狙撃されて墜落してからポリゴンに成り爆散した。


 今回のエデンは俺達より更に後ろから狙撃用のスナイパーライフルを構えて待機していた。

 ……コレ、ファンタジーゲームで良いのだろうか?


 パァン パァン パァン パァン パァン


 続けてハーピーが狙撃されると残りのハーピーは逃げ出していた。

 しかし、サハギンはトライデントを構えながら、コチラに行進している。

 奴らの脳ミソは魚並みらしいな。


「スリップ ! 」


 ベルの特殊魔法でサハギン達がひっくり返している。


「「「ギガ・サンダー !」」」


 サリー秋穂ユカリン由利凛の魔法とアゲハ蝶子のサンダースピア改から放たれた雷系魔法でサハギン達は沈黙していた。


「勝ったな !」


 止めを刺してまわる妹たちを見ながら思わず呟いていた。


「だからお前は、アホ だと言うんだよ!

 フラグなんてたてるんじゃねえー!」


 隣を見るとカゲトラ龍騎が居た。


「あれ? 居たんだ、お前龍騎!」


「居て悪いか! さっきまで、お前英里香の護衛をしていたんだよ。

 スナイパーの弱点は直接攻撃されることだからな!

 それより、やっとボスのお出ましだぜ !」


 考えたくなかったが、貯水池の方を見ると……


「 アレは蛇か龍、どっちなんだ?」

 俺の疑問にカゲトラ龍騎が応えた。


「たぶん、みずちだろう。

 一応、竜の幼体らしい……」


 ボスのHpバーの上には『ウォータードラゴンキッズ』

 と書いてありHpバーは3本…………中ボスといった処だな。

 只、貯水池の真ん中に居るので、近接戦闘担当のアリア明日菜リアスパラスマリン星華は攻撃は無理そうなので、一旦下がってきた。


 俺とカゲトラ龍騎が前に出てボスの水魔法から皆を守っている。

 ダークネスの大盾が嬉しそうに悲鳴を上げているのを無視してカゲトラを見るとクッパ玄武が魔法のバリアーみたいなモノで攻撃を防いでいる。

 …………この大盾と亀をトレードしてくれないかなぁ~


 コチラの攻撃は遠距離攻撃担当のユカリン由利凛サリー秋穂が火魔法で攻撃して、エデン英里香がスナイパーライフルでヘッドショットを狙っている。

 あの水魔法のせいで、近づけない上にボスも陸に近づいて来ない。


 これは長期戦に成るのか?


 そう思っていたら、タヌキチが前に出て来て宴会芸を始めていた。


 昔の正月番組でやっていた、傘の上でボールやますを乗せて回し始めた。

 落ちないように器用に回しているのを 味方だけで無く、敵のボスまでが魅入っている。

 おっ、今度は皿回しまで始めている。


 思わず皆で拍手していたら、敵ボスまで拍手していた。


 パァン !


 ボスの頭が狙撃されて、一気にHpバーが減っていく!

 見ると『クリティカル!』の表示がされていて……やがて敵ボスはポリゴンに成り爆散していた。



 MISSIONミッション COMPLETEコンプリート



 勝った!

 その途端、止めをさしたエデン英里香では無く、タヌキチが妹たちに胴上げされていた。


 その様子を見ている俺に対してカゲトラ龍騎が、


お前より、よっぽどあのタヌキタヌキチの方が役にたつな !」


「そう言うお前龍騎玄武に守って貰っただけで何もして無いじゃないか !

 亀に寄生した龍なんて、お前龍騎くらいだぜ!」


 従魔たちが、俺達の口喧嘩を呆れた様子で見ていたことに気がついたのは、だいぶ後のことだった。



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