第41話嵐のごとくⅢ ③

【嵐side】


 しばらくの間、ゴブリンや角ウサギを駆っていたお陰か、少しレベルも上がったので最初の街ファーストに帰ることにした。

 冒険者ギルドで素材の換金をして、武器や防具を補修しないと耐久値がそろそろヤバいからだ。

 無理して使い続けると武器や防具が破損して消えてしまうのだ。


「しかし、200連ガチャで当たったのが『鋼の剣』『鋼の盾』『鋼のよろい』『鋼のはちがね』の鋼シリーズだけとはショボいよな!

 後は『ポーション』ならマシな方で『竹ヤリ』『ひのきのぼう』『中古の弓』とかだったからな」


 俺が愚痴るとサナダやギレンも似たような感じだったらしく苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 エクスカリバーやデュランダル処の話じゃ無かったな。


 冒険者ギルドで換金して装備を整えた後に俺達はレストランに向かっていた。

 腹が減った訳では無く、ゲームにリアル感を持たせる為に『渇水率かっすいりつ』まで設定してあるのだ。


 何も、こんな事までリアル感を持たせなくても良いのにと思ったが、女性プレイヤーからは評判が良いらしい。

 味覚まで再現されているらしく、ゲームだから沢山食べても太らないのが良いらしい………本当に『デスゲーム』じゃ無いよな!


 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔


 レストランから満足しながら出て来た俺達は、もう一度狩りに向かう為に街の門に向かう途中で妙なNPCノン・プレイヤー・キャラに出会った。

 頭の上に『?』マークが浮かんでいるのだ。


「おい、ケンシンギレンロッキー

 あのキャラに話しかけると『クエスト』が発生するが、どうする?

 正直、今の俺達には時期尚早だと思うが、何事も経験だから失敗覚悟で受けてみるか?」

 とサナダが聞いて来た。


 巧の奴は事前にゲームの情報を研究していたらしい。

 まあ、コイツはゲームでも電化製品でも説明書をしっかり読むタイプだからな。

 えっ、俺は説明書そんなものなんて読む訳無いだろう!

 実戦あるのみだ!

 三人で相談していたら、アゲハ蝶子が勝手にNPCに話しかけていた。


「おい おい おい! 何を勝手に受けているんだよ!」

 思わず怒鳴ってしまっていた。


「えっーーー!

 困っている人が居たら助けてあげるのが、勇者パーティーの役目でしょう~!

 それにぃ~、聖女としては助けなきゃぁと思ったんだもん!

 蝶子、優しい~!」


「「「……………………」」」


「やっぱり、コイツ蝶子を捨てよう!」


 目のわったギレンが吐き捨てるように言ったが、同意したい、同意したいが『追放』は双方の合意がないと出来ないのが、このゲームの仕様だ。

 もちろん自分からパーティーを抜けるのは自由なんだが、コイツ蝶子が自分からパーティーを抜けるとは思え無いんだよなぁ。

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