第39話嵐のごとくⅢ ①

【嵐side】


 クソゥ、せっかくの初回ゲーム特典の200連ガチャでも録な装備しか当たらなかったぜ!

 しかもダブリが複数だ。


 俺と巧は連休中に『ドラゴンファンタジーⅩⅫ』をようやくプレイ出来たんだが、既に攻略組に第一のボス『アニサキース』を倒されてしまった後だった。


 完全に出遅れたぜ!

 由利子オバチャンに中間テストが終わるまでゲームを禁止されていたからしかたがないんだが、主だった奴らは既にパーティーを組んでいて、後発組の俺と巧、そしてロッキーはパーティーメンバーを探していた。

 1パーティー 6人がフルメンバーなのに集まったのは、俺達3人だけなんだよな。


「 アニサキースを倒した連中はレイドを組んでいたらしいが、トップパーティー『ライジング・サン』はリーダーのミルキーが学校がある為に欠席したにも関わらず副リーダーのクリスがレイドの指揮を取り倒してしまったそうだ」

 ゲームの掲示板を見ながらロッキーが教えてくれた。


「クリスも凄いが『ライジング・サン』のリーダー ミルキーって、どんな奴なんだろうな?」

 巧が疑問を口にした。


「きっと、ガチムチの男に相手にされない喪女もじょなんだろうぜ!

 だからゲームにのめり込んで、トップパーティーのリーダーなんてやれるに決まっている!」


 俺の言葉に二人は苦笑しているが、出遅れたヤッカミを言っている訳じゃ無いんだぜ!

『ライジング・サン』は女ばかりのパーティーで他の男パーティーや男女混合パーティーと違い異色のパーティーなのだ。

 もちろん他にも女だけのパーティーはあるが、ライジング・サンは、ガチの攻略の鬼ばかりのチームだからだ。


 ちなみに、この手のゲームでは本名は使わないのがセオリーだ。

 あの有名なアニメのヒロインみたいに本名でプレイする奴を俺は知らない。

 そういう俺達もゲーム用に別の名前を使っている。

 俺のアバターの名前は『ケンシン』だ。

 有名な人切り抜刀斎の方ではないぞ、軍神で有名な越後の竜『上杉謙信』から付けた名前だ。

 同じ、これ程 俺にピッタリな名前は無いだろう。

 巧の奴は『サナダ』、ロッキーは『ギレン』と云う名前だ。


 ギレンは、まあ言うまでも無くアノ野望溢れる某ロボットアニメの悪役の名前だ………ロッキーの奴、本当に記憶が無いんだろうな?


 巧の『サナダ』は、てっきり『真田幸村』から付けたのだと思ったらアニメの宇宙戦艦の方の『真田』だった。

 どうやら、シンパシーがあるらしい。


 そして職業だが、今はまだ初級職しか選べないので、俺は『剣士』、巧………サナダは『見習い鍛冶師』、ギレンは『盗賊』を選んだ。


 仕方ないから3人パーティーで始めようとした処に奴が現れた。


「 嵐くーん、巧くーん、ロッキーくーん、私も仲間に入ってあげるからあそびましょう!」


 蝶子アフロディーテが現れた!



 たたかう


 ▶にげる



 しかし、ケンシンたちは回り込まれた。

 ケンシンたちは逃げられない!



 やはり俺達は蝶子アフロディーテに憑かれているようだ。


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