第37話 中間テスト After...

【嵐side】


「オー・マイ・ゴッドォー!」


 否、俺も神なんだけどね………今は只の人間の中学生男子なんだけど。


「この おっちょこちょいめ!

 解答を一段ずつズラして書き込みをするなんて漫画みたいな事をするなんて………

 キチンと解答していれば、『80点』は取れただろうに残念ながら『0点』だ!」


 由利子オバチャン………先生にあきれられてしまった。


「そうすると、次の連休は………」


「補習授業だな! ……………と言いたい処だが、追試験で合格したら補習授業無しと云う事に成った」


 いやっふう! 良かった、本当に良かったよ。

 次の連休は、ゲーム三昧で楽しむ予定だったから、本当に良かった。


 喜んでいる俺を見て、由利子オバチャンが複雑そうな顔をしている。

 まだ、何かあるのか?


「 次は無いから気をつけるようにな! 」


 何か言いたい事があるなら言えば良いのに…………

 あっ、さては由利子オバチャン達も連休は休みたいから、追試験に成ったんだな!

 そうだ、そうに違いない!



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔


【蝶子side】


 チラリと由利子先生に見られた時に、ドキッ とした。

 思わずバレたかと思い、ジャンピング土下座をしそうに成ったわ。


 完璧パーフェクトな計画なんだから、由利子先生にだってバレないハズよ!

 別にカンニングした訳じゃ無いんだし、助辺田すけべだ先生が勝手に蝶子に中間テストの問題用紙をプレゼントしてくれただけで、蝶子は悪く無いんだもん!


 かわいい可愛い かわいい可愛い蝶子は可愛いすぎるから悪く無いんだもん!


 問題の解答は、蝶子の『ツブヤイター』のフォロワーの皆から聞いたから解答を暗記したんだもん。

 カンペなんて証拠を残していないから大丈夫なハズなんだけど、由利子先生に見詰められた時に…………全てを見透かされているような気がして謝りそうに成ってしまった。

 もう、アラフィフに成るハズなのにアノ美貌びぼうと若さは尊敬しているしぃ~ …………

 是非、その秘訣を知りたい私は由利子先生には嫌われたく無いの!

 かわいい かわいい蝶子だけど、ライバルが多いからウカウカ出来ないの。

 大江戸ファミリーの天音お姉さまを筆頭に明日菜ちゃん、英里香ちゃん、パラスちゃん と美人が多いから蝶子は、いっぱいいっぱい努力しているんだもん!


 可愛いのは蝶子だけで良いのに、神様はイジワルだよね。

 同じ時代、同世代に美人が4人も居るなんて!



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔


【由利子side】


 疑わしきは罰せず。


 とは云うが、あやしいんだよなぁ~。


 ───回想シーン始め────


「 ねえ、由利子ちゃん。

 由利子ちゃんのクラスの夜野蝶子さんなんだけど、中間テストの解答が不自然なんだけど見てくれる?」


 数学の担当教師の瑠奈るなが珍しく額にシワを寄せながら聞いてきた。

 普段は、のほほん………おっとりしていて笑顔を絶やさないアノ瑠奈が怒っている!?


 夜野蝶子のテスト用紙を確認するが…………名前も書いてあるし、嵐のように解答欄をズラして解答している訳でも無い。


「スマン、何処が可怪おかしいのか私には判らないのだが………」


 正直、数学と英語は苦手意識があるせいか、あまり見たくは無いんだが………


「 ………途中の『しき』が無いの!

 いきなり解答しているのよ。

 数学は、解答前の途中の式も大事なのよ!

 それが、いきなり解答なんて不自然すぎるわ!」


 そっ そうか。 数学オタクである瑠奈に反論すると長くなるから黙って聞いているが、テスト期間中に監督している時には、カンニングなどをしている生徒はいなかったハズだ。

 もちろん、夜野蝶子も真面目に解答していたハズなんだが………


「由利子、 社会科のテストも夜野さんの解答が少し不自然なんだけど………」


「由利子先生、理科のテストも………」


「ユリコ、英語のテストですが、まだ教えていない文法が使われているのですが………」


 真知子社会科教師子猫理科教師(キティ)やハルト英語教師までもが夜野蝶子の中間テストの解答に疑問を持ったようだ。


「少し待って欲しい。 この件は私に預からせてくれ!

 カンニングは現行犯逮捕が原則だ。

 私が監督している時には、不自然な様子は無かったんだ。

 皆は、解答が正解しているなら正当に評価して欲しい!

 夜野蝶子は、しばらく私が観察をするから、この場は納めてくれ。

『疑わしきは罰せず』が大原則なのだから、夜野には普通に接してくれると嬉しい」


 とりあえず、様子見と云うことに成ったが、確かに怪しいんだよなぁ~





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