第10話 嵐の前は……②

【巧side】



 ………俺の運命は呪われているのか?

 神時代の元嫁であるアフロディーテに人間に転生してからも関わるなんて、こんな『腐れ縁』なんか ゴミ箱に捨ててしまいたいわ!


 ヘパイストスを裏切り軍神アレスと浮気した元嫁を許せずに居るのは俺が狭量だからだろうか、否 そんはハズは無いはずだ!

 現に浮気相手だったアレスの事を憎んでいないのが証拠だからだ。

 まあ、単純なコイツ軍神アレスだましやすいから浮気するのに 御手頃おてごろな相手だったのだろう。

 その証拠に………


「 私はぁ~ 巧く~んも嵐く~んもだ~い好きなんだからぁ~

 二人共ぉ~、し・あ・わ・せ・者なんだからねぇ~

 こんなに可愛い美少女が幼馴染みなんてぇ~、私が二人の彼女に成ってあげても良いよぉ~、二人共カッコいいからねぇ~」


 甘ったるい声で誘ってくるが、もう騙され無いぞ!

 しかし、コイツアフロディーテは人間に転生してもやることが変わらないんだな!

 何が『愛と美の女神』だ、人間に転生しても俺達を二股すると宣言するとは良い度胸だよ、アフロディーテ淫乱女神め!


「二人共ぉ~、大江戸がファミリーネームだからぁ~ 蝶子がぁ 二人のお嫁さんに成ったらぁ 『大江戸 蝶子』に成るんだねぇ~。

 大江戸さん家はぁ、お金持ちだからぁ~ 蝶子 うれすぃー嬉しいなぁ~」



「「 成らねえよぉー! 誰がお前蝶子と結婚するか!」」


 嵐とハモってしまった。


「もう~、二人共 恥ずかしがり屋さんなんだからぁ~!

 でもぉ~、蝶子はぁ~ 全部ぅ~分かっているから大丈夫だよぉ~」


 ………本当にコイツは図太いな、全部 自分の都合の良いように解釈するんだからあきれてしまう。



 バッバッバッバッバッバッバッバッ キッキィーーー!


 一台のバイクが俺達の前に止まった。


「 本当にお前達は仲がよいなぁ!

 少しもうらやましく無いがな、否 これ本気まじの話だぞ!」


「あー! やっぱりロッキーくんも嵐くんや巧くんと遊ぶんだねぇ~

 私もぉ~ 一緒に遊びたいなぁ~!

 ロッキーくんからも言ってよぉ~、二人共ぉ~ 私をバイクの後ろに乗せてくれないんだよぉ~…………

 そうだぁ~ ロッキーくんなら私をバイクの後ろに乗せてくれるよねぇ~」


 うわぁぁぁ コイツ、ロッキーにも色目を使いやがった!

 本当に どうしようもないな、アフロディーテ淫乱女神は!


いや、普通に俺も嫌なんだが………オイ、何とかしろよ!」


「いやいや、俺達には蝶子は勿体無いからロッキーにゆずるよ!」


「そうそう、巧の言う通りだ!

 美男美女同士、美少女の蝶子の相手は美男子のロッキーがお似合いだと思うぞ」


「いやいや、やはり幼馴染みカップルの仲を壊す程、ヤボじゃないぞ俺は!」


「ヤダァ~、三人で蝶子を奪い合うなんてぇ~ 蝶子ぉ~困っちゃうぅ~」


 ………何処を見て『奪い合う』なんて思えるんだ?

『押し付け合っている』のが解らないのか、蝶子脳内お花畑は!





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