第63話 空回り
若葉は悶々とした日々を送っていた。
未だに蓮が話させてくれないのだ。
もうメッセージだけでも送ろうと思い
メッセージで話があると伝えても
返事は返って来ない。
次の日には何もなかったように
普通に話しかけられ
全然違う話ばかりされてしまう。
若葉が話そうとしても
遮るように話を続けられてしまい
いつもと違って常にみんなと一緒に居ようとする。
若葉はどうにかして話だけでもと思い
メッセージで
「告白の返事をさせてください。」
と、送ったのだが返信はなく、
次の日もいつも通りだった。
みんなの前では普通のしなければと
心掛けていたが
なかなか笑顔にはなれなかった。
みんなもだんだんと
若葉に元気がない事に気付き
心配し始めていたのだ。
千花も流石に
どうにか出来ないかと考えて
蓮にメッセージで
若葉を諦めるように言ったのだが
返信は来なかった。
千花に対しても、
次の日は何もなかったかのように
普通に接してきた。
「やっぱりダメか。」
千花は、悩んでしまった。
どうすればいいのかわからなかった。
蓮と若葉のことで
頭がいっぱいだった千花は
一度、大輝と連絡を取った後は
蓮をどうにかしないといけないと思い
大輝に連絡をしていなかった。
なので大輝が、
蓮から嘘のメッセージで
若葉と蓮が付き合ったと言っていた事に
気付けなかったのだ。
冬休みも近くなって学校が休みに入れば
蓮と若葉が会うことがなくなる。
その時がチャンスだとも思っていたので
クリスマスの事も忘れていた。
大輝が切り替え始めている事に
気付けなかったのだ。
クリスマスも近づき
みんなで毎年遊んでいたので
今年はどうするかという話をしていた。
例年通りにみんなで集まる事になったのだが
友達の一人が大輝も誘ったが
今年は、高校の友達に誘われて
行くことにしてしまったから
行けないと言っていたらしい。
若葉は、ショックだった。
毎年クリスマスはみんなで遊んでいたので
大輝も来てくれると思っていた。
だが大輝は来ない。
その事を初めて聞いた時に
やはり嫌われてしまったんだと思った。
千花もこのままでは大輝の勘違いが
広がってしまうと思い
大輝に来てくれるように
メッセージを送ったのだが
「先に決まってしまったから
今回は行けないんだ。ごめんね。」
と、返信があった。
千花もそう言われてしまうと
強引には誘えず諦める事にしたが
若葉の落ち込みようは目に見えてわかった。
なんとかしてあげたいが
全て空回りしてしまう。
上手くいかない時は
何をやっても上手くいかない。
千花も悶々とした気持ち冬休みまで過ごしたのだ。
蓮は、なんとか時間を稼ごうとしていた。
今までのでように上手くいっていないことは
十分わかっていたのだが
今は、少しでもアピールしないといけない。
焦りが全面に出ていた。
デートも出来ていないし
二人きりにもなかなかなれない。
二人きりになっても
若葉が告白の返事をしてこようとするので
話させないように蓮が話し続けた。
若葉の話を一切聞かないようにした。
メッセージも
都合が悪いメッセージは
見なかった事にし
次の日に何もなかったように
接する事にしていた。
蓮自身も全て空回りしていた。
自分でもわかってはいるのだが
焦りばかりが前に出てしまう。
振られたくないと思う気持ちが
全面に出てしまう。
蓮は、
挫折という挫折を味わったことがなかった。
だから、振られるということが
怖くてしかたなかった。
自分の心を守る為に必死だったのだ。
もうすぐ冬休みだ。
冬休みになったらきっと
クリスマスしか会えないだろうと思っていた。
なんとかクリスマスで良いところアピールし
二人きりになってキスさえしてしまえば
付き合う為の既成事実ができると、
既成事実させ出来てしまえば
若葉も蓮と付き合うしかないだろうと、
冷静になれば考えないような事を
ずっと考えていたのだ。
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