第53話 蓮の気持ち…3
大輝の高校の文化祭当日になり
若葉を迎えに行くと誘ったのだが
佐々木も一緒にという事になった。
みんなと合流した後も
若葉は佐々木のそばにいたが
みんなが上手く若葉の隣にしてくれ
いつの間にか三人で行動する事になった。
本当は二人が良かったのだが
佐々木ならしょうがないと
切り替える事にしたのだ
三人で大輝の教室を探しながら
文化祭を楽しんでいた。
ようやく大輝の教室を見つけた。
大輝の教室に入ってから、
大輝のクラスの女の子達が
可愛らしい衣装を来て案内してくれた。
若葉は、緊張しそわそわしながら
大輝を探していた。
蓮も、大輝を探したが見つからず、
とりあえず、
たこ焼きとドリンクを頼む事にした。
普通にたこ焼きは美味しかったが
食べ終わってからも
大輝が見当たらなかった。
その後も少しだけ待ったが、
結局見つけられなかった。
三人で、他の所も回ってから
大輝に連絡してみよう
ということになったので
一度、移動する事になったのだが
大輝の教室を出てからすぐに
大輝がちょうど廊下を女の子と一緒に歩いていた。
さっき大輝のクラスにいた子だったが
大輝と交換で休憩なのか二人が離れたところで
佐々木が、大輝の所に駆け寄った。
若葉が固まっていたので
どうしたのかと聞いたが黙っていた。
大丈夫かと聞くと
若葉は黙って頷いていた。
そんな若葉の姿に
蓮は、嫉妬していた。
だから蓮は、あえて若葉の腕を引き
大輝の所に向かった。
「大輝どこ行ってたの?探したんだよ。」
と、佐々木が聞いていた。
「丁度、休憩だったんだ。
みんな別に来たの?
休憩に入る前にもみんな来てたよ?」
と、大輝が話していたので
「みんなとは、途中で別行動になったんだ。」
と、蓮がここで話に加わった。
「そうなんだ。」
と、大輝が答えたが
蓮に腕を引かれてそのままの若葉の姿を見て
「ごめん、もう交代の時間だから行くね。
楽しんでね!」
と、大輝は教室に戻って行った。
蓮は、若葉との今の関係を大輝に勘違いさせる為に
あえて腕を掴んだまま話した。
佐々木が上手く言ってくれている事もあり
大輝が若葉と話さないようにしているんだとも思い
佐々木に感謝していた。
しかし、
蓮の考えは甘かった。
若葉は、大輝に会った時
一切声を掛ける事もしなかった。
大輝が教室に入るまで
顔を上げる事もなかった。
大輝が教室に入ったのを見届け
若葉の方を見た蓮は、
一瞬固まってしまった。
若葉の顔が
今にも泣き出しそうな顔をしていたからだ。
若葉は、
必死に何かに耐えるように
泣くのを我慢しているようだった。
手にも力が入っていた。
早く話を逸らさなければと思い、
「大輝に会えて良かったね。」
と、伝えてから
「他も回って文化祭を楽しもう!」
と、言ってみたのだが
反応が薄い、
佐々木も同じように声を掛けていたが
若葉は、黙って頷くだけだった。
その後の文化祭は、
つまらないものになってしまった。
若葉は、必死に笑顔を作ろうとしているが
ショックを隠しきれていなかった。
そんな若葉の様子に
佐々木も気付いていた。
「大丈夫?若葉?」
と、佐々木が心配そうに尋ねていた。
若葉も、流石に悪いと思ったのか、
「ちょっと体調が悪くなっちゃって。
ちょっと休めば大丈夫!」
と、言っていた。
「今日はもう楽しんだから
みんなに伝えて先に帰ろ。」
と、蓮は耐えきれず伝えたが
「それは悪いから一人で帰るよ。」
と、若葉は言っていた。
「一人で帰させるわけには行かないでしょ。」
と、佐々木が言って更に
「うちが送って行くから、
白石君はみんなと合流して最後まで楽しんで。」
と、佐々木に言われてしまった。
若葉と佐々木は先に帰ることになった。
蓮は、後悔していた。
大輝に会うべきじゃなかったと、
避けるべきだったと、
だが、
大輝に会った瞬間に若葉の顔を見て嫉妬した。
大輝に見せつけたいと思ってしまった。
若葉の腕を掴んでいる姿を見せつければ
蓮の方が若葉と仲が良いのだと
思わせられると思ってしまったのだ。
大輝にはそう思わせることは出来たが
肝心の若葉には逆効果だった。
もっと慎重に考えるべきだった。
帰り道も、
終始、そのことばかり考えてしまった。
今のままでは完全に振られてしまう。
蓮は、冷静さを失い始めていた。
佐々木だけではダメだと思い
みんなに告白した事を伝え
付き合えるように協力してもらい
断り辛い状況を作って
外堀を埋めてしまおうと思ったのだ。
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