第49話 蓮の気持ち…2

文化祭で演劇をする事が決まった時も

蓮が主人公役で

ヒロイン役に若葉なってくれるように

みんなを上手く促してくれる雰囲気にするために

佐々木に目配せをした。


若葉は最初、裏方をすると言っていたが、

佐々木が若葉に、ヒロイン役を

猛プッシュしてくれて、

みんなもそれに賛同して

若葉がヒロイン役をする事になった。


蓮は、佐々木に感謝しかなかった。


劇中、抱き締め合うシーンもあった為、

蓮は、嬉しくてたまらなかった。


若葉と二人で練習する時も

なるべく意識してもらえるように

優しく話しかけ気遣いを忘れなかった。


文化祭当日も

全てが上手く行った。

演劇も盛り上がり抱き合うシーンでは、

今までよりも

強く抱き締めてしまったが

若葉も抱き締め返してくれた。

若葉と抱き合った余韻に浸りながら


「今日ならいける!」


と、蓮は思った。


劇が終わり告白して残りの文化祭を

若葉と一緒に回ろうと思ていたが

もしダメだった時のことも考えた蓮は

文化祭が終わった後に告白しようと思った。

教室に向かうと若葉と佐々木が一緒にいたので

あえて佐々木の前で伝えることにした。


「文化祭が終わったら話があるから

聞いて欲しいんだ。」


と、若葉に告げて佐々木に目配せをした。


「うちが責任持って連れてくよ。」


と、佐々木が言って文化祭が終わってから

若葉と話をする事になった。



文化祭が終わるまでは、

男友達みんなで

文化祭の模擬店などを回る事になった。



無事、文化祭が終わり、

佐々木に促されたのか

若葉から蓮の所メッセージに来た。


帰りに一緒に帰ることなり

帰り道は、緊張して何を話したか

わからなかったが、

なるべく普通の話をして公園まで向かった。

公園についてすぐに


「若葉のことが好きです。

俺と付き合ってください!」


蓮はストレートに告白した。

今日は演劇に余韻もあったので

成功する自信があったのだ。

だが若葉は、蓮の望んでいた表情ではなかった。

若葉が何か伝えようとした瞬間


「このままでは振られる」


蓮は、そう思った。

若葉の答えを聞く前に


「突然言われても困ると思う。

今すぐ答えなくていい。

だから時間をかけて

ゆっくり答えを出して欲しいんだ。

今日は話を聞いてくれてありがとう。

また学校でね!」


と、蓮は若葉に伝え

逃げるように走って公園を後にした。



今日は上手くいく自信があった。

佐々木からも


「なんとなく気付いているよ。」


と、メッセージが入っていたからだ。

文化祭中は、楽しくて仕方がなかった。

帰り道も緊張はしたがウキウキだった。


だが、告白した後の若葉の顔を見た瞬間から

上手くいく想像が出来なくなってしまった。


家に帰ってから

佐々木に電話をした。

告白したことは伝えたが

答えは聞いていないと、

付き合えるように上手く促して欲しいと伝え

大輝にも告白した事を伝えておいて欲しいと

言っておいた。


大輝の文化祭にはみんなで行くと言っていたので

この1週間は、

なるべく大輝と連絡は取って欲しくなかった。

若葉には、告白のことだけに集中してもらい

少しでも蓮だけに意識を向けたかったのだ。


蓮は、若葉に告白した後も

連絡をこまめに入れていた。

学校が始まってからも

今までと同じように過ごす事を意識した。

若葉も、最初はぎこちない感じだったが

いつも通りにしてくれていた。


佐々木には

若葉に付き合うように促して貰らっていた。

大輝にも上手くメッセージを入れて

若葉と連絡を取らないようにと

佐々木に伝えてもらう事して

若葉がなるべく

大輝を意識しないようにさせていた。


大輝と若葉が、

どのくらい連絡を取っているのかは

わからなかったので

佐々木にそれとなく聞いてみたところ

あまり連絡が取れていないと、

若葉が言っていたらしい。

佐々木が大輝に

上手く言ってくれたのだろうと思い感謝した。


大輝の高校の文化祭でも

一緒に行動するようにして

少しでも大輝と若葉が話さないように

仕向けなければとは思っていたのだ。

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