第45話 蓮の気持ち
蓮は、一人歩きながら考えていた。
「今日も大輝ばかり見ていたな…
告白も出来なかった。」
と、蓮は若葉が、
本当は、
大輝を好いている事に気付いていたのだ。
でも、負けたくなかった。
若葉を好きな気持ちなら
誰にも負けないと思っていた。
大輝の気持ちにもなんとなく気づいていた。
だから若葉を取られるのが嫌だった。
中学一年の夏祭りから
だんだん若葉に惹かれていき
気付いたら好きになっていた。
若葉が、
いつも大輝を気にしている事は知っていた。
だから、
教室にいる時も、
みんなで一緒に遊ぶ時も、
常に若葉の隣にいる事を意識した。
二人でデートに行けた時は、
すごく嬉しかったが、
デートをした後から、
若葉は何かしらの理由をつけて
一度も二人で出掛けてくれなくなってしまった。
それでも蓮は、
焦らずゆっくりアプローチを続けていった。
中学最後の頃は、
大輝と二人きりにさせない為に
朝も、若葉を待ってから学校に向かった。
大輝は、いつも空気を読んで
違う友達のところに行く。
若葉は、そんな大輝を見て
いつも寂しそうな顔をしていた。
若葉の気持ちを
少しでも自分に向けたくて
強引にでも、
蓮は、自分を意識してもらえれように
行動していた。
みんなにもわざとわかるようにアピールをし、
自然と若葉と二人にしてくれるようになった。
蓮にとっては上手くいっていた。
遊びに行っても
二人きりになれるようにしてくれた。
でも、二人きりになっても
若葉は、いつも大輝を気にしている。
テーマパークに行った時も、
二人で回れるように仕向けて
上手くいった。
みんなと合流するまでは
なんとか意識してもらえるようにしていたが
若葉は、気が付くと
周りを見渡し、誰かを探していた。
夕方まで時間をかけたがずっと変わらなかった。
だが、
みんなと合流する前にチャンスが訪れた。
人混みで若葉とはぐれそうになったので
若葉の手を掴み
人混みを抜けるまで手を繋げたのだ。
蓮は嬉しかったしドキドキしていた。
だが、若葉は嬉しそうな表情ではなく
なんとも言えない顔をしていた。
みんなと合流してからも
大輝が体調を崩して帰ったと聞いた後、
落ち込んでいた。
落ち込んでいる素振りは見せないようしていたが
蓮にはすぐにわかった。
帰りも送ると言ったのだが
断られてしまい送ることも出来なかった。
夏祭りの時も、
花火の時間に二人きりになれるように
みんなには、
さりげなくお願いしておいた。
みんなが上手く二人きりにしてくれた。
人混みを歩きながらテーマパークの時のように
若葉の手を取ろうと思ったが、
断られてしまった。
それでも
若葉と二人で、花火を観る事ができた。
花火を観ながら告白しようと決めていた。
しかし、若葉は、
ほとんど花火を観ていなかった。
花火どころか、話も聞いていなかった。
普段ならそんな顔はしないが、
終始、不機嫌な顔をしていた。
結局、告白は出来ず花火が終わるとともに
急いで友達に連絡をとり合流する事となった、
みんなと合流する場所にも、
若葉が走るように行ってしまった。
合流してそのまま帰ることになったが、
このまま帰るわけにもいかないと思い
蓮は、大輝の所に行き
若葉を一人で送っていきたいからと言って
譲ってもらうようにお願いした。
大輝が初めて渋った顔をした。
やはり大輝も、
若葉の事を好きなんだと確信した。
大輝には、負けられない。
無理やりにでも送って行くことにして、
あえて大輝から若葉に
伝えてもらうことにした。
大輝から帰りの話しをされている若葉は、
泣きそうな顔をしていた。
それでも蓮は、譲れなかった。
「若葉の隣には、自分が居たい。」
そう思っていたから。
若葉を送って行くことになり
蓮は、色んな話をしたが
若葉は、相槌を打つだけで、
ほとんど聴いている様子はなかった。
家の前まで着き、
「送ってくれてありがとう。また学校でね。」
と、若葉が言って
家の中に入ろうとしたので
「ちょっと待って。」
と、蓮は呼び止めた。
「どうしたの?」
と、若葉に聞かれて
「やっぱりなんでもない。
また学校でね!」
蓮も焦っていたの告白しようとした。
でも若葉も顔を見て
このままだと
振られてしまいそうな気がした。
なので、
告白はせずそのまま帰ることにしたのだ。
若葉の家からの帰り道
蓮は、
どうやったら付き合えるかを
考えながら歩いていた。
今のままだと振られてしまう。
若葉の中では、大輝の存在が大きい。
でも、その事はどうしようもない。
「若葉と一番仲がいいのは佐々木だよな?
佐々木にお願いして、
若葉に付き合うように上手く促して貰おう。」
と、思い、
蓮は、佐々木千花に連絡をした。
佐々木は、
付き合うように促すと言ってくれた。
大輝の話もそれとなくしておいたので
大輝にも
軽く釘を刺しておくとも言ってくれた。
とりあえず、やれる事はやる。
何を言われようと
若葉とは、付き合いたかった。
若葉の隣は、誰にも渡したくなかった。
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