第14話 夏休み

夏休みは、

部活もそうだが

イベントとたくさんある。


部活のみんなとは、

部活以外でも、遊ぶ機会が増えた。


部活が終わってから

ご飯を食べに行ったり

カラオケに行ったり、


部活以外の友達とも

携帯を買ってもらったので

連絡をしたりして

たまに遊んだりもしていた。



若葉も携帯を買ってもらったので

毎日連絡をとっている。


若葉と毎日連絡をとれている事が

大輝にとっては、

すごく嬉しい出来事であった。


会っている時も嬉しいが

帰ってからも話が出来るので

家にいても嫌な気持ちにならずに済んだ。


夏休みも充実している。



そんな中

若葉から


「夏祭りに行こう!」


と、誘われた。


毎年、学校の友達も一緒に

行っていたイベントだ。


今年は、違う中学に進んだ友達も

誘ってみんなで行く事になった。


その中には、

若葉に告白をした

男子も含まれている。


少しモヤモヤするが

大丈夫だろうと思うようにした。



七月の終わりに

最初の祭りがあった。


久しぶりに会う友達は、

そこまで見た目も、中身も変わっていなくて

すぐに小学校の頃のように

楽しく過ごせた。


男子達は、

若葉がさらに可愛くなっていたので

最初は、恥ずかしそうにしていた。

みんなで楽しく行動していたが


徐々に、違う中学に進学した

男子達は、

若葉と普段

一緒にいられないアドバンテージを

挽回するかのように

積極的に話しかけていた。


若葉は、いつもと変わらず

男女共に態度が変わらない。


告白された事も

忘れているかのと思うほど

自然に話していた。


男子達は、その態度に安心したのか

積極的にアピールをしている。


テストで何位になったとか

一年でレギュラーになったとか

女の子に良く告白されるとか


一生懸命に話していた。


若葉も純粋に誉めるため

男子達は勘違いしていく。


そのうちに男子達は、

若葉を

囲むようにし

話に夢中になっていった。


大輝は、その中には入れず

モヤモヤした気持ちのまま

他の友達と過ごしていた。


他の友達は、


「またか」


くらいの気持ちだったので

それほど気にせず祭りを楽しんでいた。


若葉は、モテるので

よく見る光景らしい。



花火の時間が近づき

さすがに男子達も

そわそわし始めた。


毎年みんなで花火を見る場所は

決まっていたので

そこに向かう事になった。


ギリギリまで話に夢中になっていた為

走ってその場所にむかった。


走っていると友達の一人が

転んでしまったのだ。


大輝はすぐに駆け寄り


「大丈夫?」


と、声をかけた。


少し痛そうにしていたので


みんなも駆け寄ってきたが

みんなに先に行ってもらう事した。


若葉も残るよと言おうとしたが

男子達に


「行くぞ!」


と、腕を掴まれて行ってしまった。


モヤモヤが増したが


友達を置いていくわけにも行かない。


その友達も

膝を擦りむいたくらいだから

絆創膏を貼って終わった。


「ごめんな大輝。」


と、言って申し訳なさそうにしていたが


「大丈夫だよ!

気にしないで!

もう始まってるけど

ゆっくり歩いていこう!」


と、明るく伝えた。



花火は始まっていたが

その友達とゆっくり向かうことにした。



いつも場所に着いた大輝は

花火を見上げながら

若葉の背中を見つけた。


若葉の両隣は

男子が立っていた。


いつもは大輝の場所なのに

今年は隣で花火を見られなかった。


羨ましい気持ちよりも

嫉妬心の方が多かった。


花火を見ている間

みんなのところには行かず

みんなより後ろの方で

花火を見続けた。


気持ちを、落ち着かせるために


表情に、態度に、出ないように。



最後までまで花火を見ながら

若葉ばかり見ていた。



花火が終わり

みんなと合流した。

みんな友達の心配をしていたが

大丈夫そうでよかったと言って、

花火の話で盛り上がった。



大輝は気持ちを隠し

いつも通りに明るく接した。

普通通りに接した。



若葉に、気持ちを悟られないように。



花火も終わった後は、

みんなまだ一緒にいたそうにしていたが

遅くなり過ぎても

親が心配するので

仕方なく帰ることになった。



帰りは若葉と

二人で帰れると思っていたが


何人かの男子が


「危ないから送っていく」


と、言ってきたのだ。


若葉は、


「大輝と一緒だから大丈夫だよ!」


と、答えたのだが


「みんなで帰った方が安心でしょ!」


と、言って聞かなかった。


優しさをアピールしたかったのだろう。


若葉も何度も断るのも悪いと思って


「じゃぁみんなで帰って

女の子を送っていこう!」


と、若葉だけではなく

女子みんなを

家まで送りながら帰ることとなった。



帰りも楽しくみんなで

盛り上がっていた。

女子も一人ずつ、家に着き


最後の女子が若葉だった。


若葉の家より手前に

大輝の家があった為


大輝は、最後まで

若葉と二人きりになる事はなかった。


最後までモヤモヤとした

祭りとなったのだ。








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