あの日をつかめ

旭川 あさひ

プロローグ

猫が落ちた。


僕らのいる地球からすれば、ほんの些細な出来事だった。

それでも猫は落ちた。

世界はどうしようもなく残酷で、それでいてひたすらに運命に従順だった。

僕の伸ばした両の手に少しも掠る事無く、猫は落ちていく。


そうして、僕はもう何度目かもわからない胸の痛みに顔をしかめながら歩き出した。


……もう一度今日をやり直すために。

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