ケモ耳少女の学園生活

ソラ

第1話

 メアリの朝は早く、少なくとも朝の6時には起き、朝風呂に着替え、弁当を2人分作り、7時30分に間に合うように朝食を取る。


「いってきます」


 食べ終えた後、洗面所で顔を洗い、歯みがき等、身だしなみを整え、家の鍵を掛け、歩き出す。

 普通ならもっと遅くても学園には間に合うのだが、学園へ向かう途中にある家、そこにいるある人物に合うために早く家を出ていた。

◇◇◇

「さて、と」

 目的の家の扉の前に来るとインターホンを押す。だが数秒、数十秒待っても反応は帰ってなかった。

 だが、これはいつものことだ。メアリは溜息を吐くと、カバンから小さな猫のキーホルダーがついたカギを取り出す。

 それを鍵口に差し込み、回す。そう、これはこの部屋の鍵。

 なぜ持っているのか?それはこの部屋に住む住人に渡されたからだ。


「お邪魔します」 


 ドアを開け、部屋の中に入る。部屋の中は一面ピンクで、ところどころにかわいらしい小物が沢山配置されていた。

 その窓際付近にはベッドがあり、近づく。

 そこには目的の人物が心地の良い寝息を吐きながら眠っていた。メアリはその人物を見るとため息をつき、その人物の肩を揺する。


「お姉さま、起きてください、もう朝ですよ」

「んぅ~、もうそんな時間~……?」

「はい、だから早く起きてください、お姉さま」

「は~い……」


 その人物はゆっくりと起き上がる、そして寝ぼけ眼で挨拶してきた


「おふぁよ~、メアリちゃん」

「おはようございます、お姉さま」


 今起こしたのがこの部屋の住人であるエリ、メアリの1つ上の先輩だ。

 エリはこのように朝が弱い、なので朝早くに起きるメアリに朝起こす役を任され、合鍵を受け取った。

 だが特にそのことが嫌なわけではない。むしろ大好きな人の寝顔を見れるのだ。   

 だからこの仕事を任されたときは本当に嬉しかった。


「……ところで、何してるんですか、お姉さま」

「今日も起こしてくれてありがと~って

ん~、ふふ、メアリちゃんに耳、今日もふさふさで気持ちいいわ~」

「あ、ありがとうございます……って、そうじゃなくて!?」

「ふふ、尻尾も嬉しそうに揺れてるわね」

「え?ひゃうっ!?」


 言われて気づいたのか、メアリは、慌てて尻尾を手で押さえた。


「そ、そんなことよりお姉さま、早く着替えてください!」


 そういうと、エリに着替えを差し出す。

 制服の場所は解っていたので、探すのにも時間はかからなかった。

 差し出した制服は、よく洗っており、いい匂いがした。

 メアリは、制服を渡すとキッチンへ向かう。


「私は、朝食を作ってきますから」

「は~い」


 これがいつもの朝の光景。騒がしいけど大好きな朝。大好きな人と一緒に過ごす朝の光景。


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