「ゴホッ、ゴホッ」

 身体が熱い。苦しい、息が出来ない。

「ガハッ……ゴホッ!ゴホッ!」

 この症状は間違いない——あの『毒』だ。

 私にとって猛毒となる物質を、体内に入れてしまったのだ。でも、何故?この別荘にあの『毒』は無いはず。

「ゴホッ……ガハッ……」

 まずい、今は一刻も早くアレが必要だ。私はベッド近くにある棚の引き出しを開けた。——無い。アレが無い!

 私は間違いなく、アレを引き出しの中に入れた。なのにアレが無くなっている。

 代わりに入っていたのは一枚の紙切れだった。その紙を見て、私は絶望する。

 酷い。なんて事を!

「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ!」

 意識が朦朧とする。苦しい。このままでは死んでしまう。嫌だ、死にたくない!

 私は朦朧としながらも部屋を飛び出し、階段を下りた。

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