いつかくる滅亡に備えて(短縮版)

Judo master

第1話 魔道国の王子

 「ヤァこんにちわ。僕はスラング。スライムなんだ。

  今君が望んだこと、僕が叶えてあげられるよ。」


 王子は、その軽口の生物を見下ろした。


「君のような第三王子はこの国では暗殺される運命だし、運良く後継者争い

 に参加できても、有力者の支えのない君では敗者確実だよね。」


 王子は、少し表情を曇らせた。


 「だから、いっそこの国を出て転生というのはどうだろう。

  転生先も決めてあるし。知らない名前だろうけど、異世界の日本だよ。」


 初めて王子は口を開いた、

 「何をスライム如き下級生物がほざく。」


 「ネェ、スライムは無属性、つまり、どの世界でも存在できるレア種だよ。

  だから、君ごと飲み込んで異世界にも行けるんだ。君が異次元の扉を

  抜けることはできないのは知っているだろ?

  その魔力が災いするのさ?」


  初めて王子は、真剣な顔になった。


  「さてまどろっこしい話はやめて、単刀直入に提案するよ。

   僕と契約しないか?」


  「お前のメリットは何だ、スライム。」


  「イヤだな、僕の名前はスラング。さぁアモン王子、どうするの?」


   アモンは、日々、命の危険を感じていた。

   「スラングよ、俺をこの魔道国から脱出させてくれるのか?」


   「今すぐにでも!」


   「ところでその異世界の日本では俺はどうするんだ?」


   仲間が拠点を作っています。

   とりあえずは、そこに落ち着いてからにしましょう。


   翌日、魔道王国デモリアは大騒ぎになっていた。宝物庫から、ある宝具が

奪われていた。人間の勇者を倒した先王の戦利品である聖剣カリブルヌスに魔王の黒魔術が施された聖なる魔剣が消えていた。魔道城は、厳戒態勢が取られたが、誰も第三の王子アモンが消えたことは気にもしていなかった。その程度の存在感だった。


 アモンは、すでにスラングに飲み込まれて、ある教えられた魔法詠唱を

  口にしていた。

  「ミラージュ!」


  気がつくとアモンは、古びた小屋が一階と二階に立ち並ぶ場所に着き、

その201号室という部屋に通された。入口や外観とは異なり、部屋の中は

広々としていた。


 「魔法とは違う技術を施していますから、敷地の広さは魔道城と同じくらい

  ありますし、この空間なら、あなたの創生魔術が使い放題ですから、

  お好きな物を創生して下さいね、

  それから、この日本での貴方の名前は、不動亜門です。」


 「ところでこの世界で何をする?」


 「もう少しお待ち下さい。

  パーティーがまだできませんから?」











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