腐れ縁の男女が送る甘いルームシェア生活

四葉のアミア

第1話



「ただいま〜」


「おう、お帰り〜。頼んだもん買ってきてくれたか?」


「もちのろん。私を誰だと思ってる」


「成人済みの21歳、大学生。彼氏歴無し、あと2ヶ月で22歳を迎える俺の腐れ縁でルームシェアをしている同居人」


「余計な単語多い!!」


「事実なもんで」


「酷い!これ渡さないからね」


「やめろ。その食材が無ければ俺とお前も夕飯無いぞ」


「自分の分だけ作って食べます。達也は私が夕飯を食べているところをお腹を空かせながら食べると良い」


「…ks」


「カス?…あーあ」


「夕飯食べれないのは普通にキツいのですみません。明日も大学なんだよ」


「それを言うなら私だってそうよ。大学あるし、バイトもあるんだから」


「俺は明日バイト休み」


「…死ねカス」


「おぉい!カスはいいけど死ねはダメだろ」


「知らん。なんかイラッときた」


「器ちっさ」


「死ね」


「おい。死ねはあかんぞ」


「じゃあなに?殺すぞ?」


「物騒過ぎるだろ」


「文句多いなぁ…じゃあ、一緒に死んであげるから一回殺させて」


「心中か!?すまんがまだ人生を謳歌したいから断る」


「貴様に拒否権等はない。さっさと覚悟を決めたら?」


「なんのだよ!死にたくねぇっての。んな事より、食材寄越せ。時間もすでに7時前だからな、夕飯作るからお前はリビングで休んでろ」


「…急に優しさ!」


「悪いか!?」


「いやぁ…別に?さっきの会話との落差が」


「今更だろ。じゃあ、出来るまでしっかりと休んでいてくれ」


「あい。…ありがとねー」


「うい」









「今更だけど、ルームシェアってのはいいね」


「急だな。…まぁ、肯定だ」


「何よりお金が節約できるってのが最高。しかも、あんたが一緒ってのが気楽でいいわね」


「そうだな。始めた当初は違和感しかなかったが…今ではこれが普通。いつも通りって感じだもんな」


「それは分かる。朝起きて、え…なんでいるの?ってなった記憶がある」


「あー。あったあった。お前が不法侵入だとか夜這いだとか変態とか、そんな事言ってきたな。中々俺としてもどう答えたら良いのか迷ったぞ」


「しゃーないよ。だって、いくら達也と言ってもね」


「そりゃそうだろ。ただ腐れ縁ってだけの関係だもんな。幼馴染とかならまだしも…俺としては朝起きてお前が居たことに少しドキッとしたぞ」


「え、私の姿にドキドキしたの?」


「おう。殺されるんじゃねぇのか…って思ったな」


「別の意味のドキドキ!!…でも、良かったね」


「?」


「危うく不法侵入ということで殺しそうになったよー」


「殺されなくてよかったぁぁぁ!!お前に殺されるのは恥にしかならん」


「酷いっ!…でも、本当に最初は苦労したね」


「そうだな…まずルームシェアということで高くなったが広めの部屋を借りてるし」


「部屋というよりアパート」


「…まぁ、それは置いといて一番困ったのは誰がベットに寝るのかだったな」


「あー、あの醜い争いが勃発したあれか」


「結局俺が折れて…って言うか、俺の倫理観が心に訴えてきてお前にベットは譲ったがな」


「ふっかふかで寝やすいよ!」


「死ーー…コホン。ね。俺はソファーで寝てるわけだが」


「今、間に咳払い入れたけど死ねって言ったよね?」


「気のせいだ」


「…まぁいいけど、今更だけどソファーでいいの?お金はお互いに貯まってきてるんだからベット…もしくは敷布団とかなら買えるよ」


「いや、いい。ソファー寝やすいぞ」


「…ごめん、その感覚は私には分かんないや」


「謝るな。他には何が…あー、風呂だったな」


「そう?あれは案外すぐに決まったじゃん。私が後に入るって事で」


「いや…そうじゃなくて風呂上がりだな」


「風呂上がり?なんかあった?」


「…最初はちゃんとしたパジャマだったが今は薄着じゃねぇか」


「私は何とも思ってない。逆に何が悪いのか述べよ」


「目のやり場に困るんだよ!今は慣れたがそれでもたまに見える谷間だったり、めくれて微かに見えるお臍だったりドキッとするんだよ」


「なるほど。…変態という称号を与えよう」


「返却を申請する」


「却下。というか、見るのが悪い」


「悲しいが、これは男の性として避けられない…」


「そっかぁ。まぁでも、私はあのままだからね」


「…そうかよ」


「別に見られたところで…っていうか、あんたに見られてるなー。って言うのは分かってたことだし」


「分かってたんなら早く言ってくれ!!」


「ジロジロと無遠慮に見るような視線じゃないから言わないわよ。それに、あんたからその時だけは一人の女として見られてる感じがするから寧ろ、こうなんていうか……嬉しい?なんか、そんな風に思うのよ」


「…ど、どうコメントすればいいんだよ。なんだ?感謝か?」


「感謝はまた違うでしょ」


「…そうか」


「最近はあんた、私の事女扱いしてないよね?」


「してるだろ」


「じゃあ、休みの日に折角朝からぐっすり寝ている時に、いきなり叩き起こす?」


「昼まで寝てるお前が悪い」


「でも寝室に入ってきて、私の布団をひっぺがしてくるのは確実に女扱いしてないでしょ」


「あー、かもな」


「ほら!…だからぁ、さっき言ったように僅かな間だけでも女として見てくるのが新鮮なんだよねー。昔見たいって感じがして」


「昔かぁ………そうか?」


「馴れ合い初めはそうだったよ。…あれ、でも数ヶ月で今と同じ女として見られなく……あれ?」


「それ以上は考えない方がおすすめだ」


「そっかぁ。…ってなるか!!私があんたに女として扱われてた期間が短すぎる!!おかしい!」


「知らん。女性として扱われたいのか?」


「…うーん、扱われてたいような扱われたくないような。でも、大学ではちゃんと一人の大学女子として扱われてるよ」


「そらそうだろ。…まぁ、俺にお前を一人の女性として扱えと言われたらまず…ルームシェアをやめるな」


「え、なんで?」


「まず付き合ってもない男女が一つ屋根の下でルームシェアという形とはいえ同居してるんだぞ?その時点でダメじゃないか?」


「そうなの?…その辺は人それぞれだと思うけど」


「少なくとも俺はそう思う」


「んー、そうだね。って、今はそんな話じゃなくて布団を引っ剥がすなってこと」


「結構無理やりにさっきの話と繋げたな!?ってか、引っ剥がされたくなかったらすっと起きろや!」


「はっはっはっ、無理」


「やる前から無理って決めつけんな。アラームでもかけろ」


「私はね、知っての通りアラームが鳴ったら起きるけど直ぐに消してもう一回眠りにつくんだよ。understand?」


「突然の英語ウザいな。…ならば、アラームをボイスとかにするか?」


「どゆこと?」


「なんか、そういうのがあんだとよ。声を録音して、その声がアラーム代わりになるっていうやつ」


「へぇー、やってみてよ」


「今からか!?なんもセリフ考えてねぇから無理だぞ」


「パッと思いついたのでいいから!」


「…そうだなぁ……さっさと起きろ、いつまで寝てやがるこのぐうたら豚が、とか?」


「酷っ!?パッと思いついたそれ!?予め用意してなかった?」


「するか。してたらもっと酷い言葉言ってる」


「そっかぁー。って、おいっ!」


「おっと失言…で、どうなんよ」


「なにが?」


「アラームだよ」


「ありだと思う。けど、さっきの以外で」


「俺が録音するの確定なのか!?」


「もちのろん、あっセリフは考える」


「頼む。セリフなんてお前をボロクソ言うやつしか出てこん」


「なんで!?もしかして嫌われてるの?」


「嫌ってはない。むしろ、好きだぞ」


「え」


「ただ、朝の弱さにそろそろ怒りを蓄える器が限界を迎えて破壊されそうになっているだけだ」


「破壊されたら私の人生…っていうか、朝終わりそう」


「お前がすっと起きて朝ごはん食べてくれたら二度寝してもいいんだがな…俺が起こすから」


「起こしてくれるの?」


「あぁ。折角用意したお前のための朝ごはんが冷めてしまうのが嫌なんだよ。お前には温かいご飯を食べて欲しいからな」


「…無自覚系ってよく言われない?」


「まったく?」


「気のせいにしとこ……よし、わかったわ!すっと朝起きてご飯食べて、寝るね」


「…まぁ、分かった。いいぞ」


「やったぁ!二度寝!」


「…判断を誤ったか?まぁ、でも…時間がやばくなったら無理矢理起こすからな」


「また無断で部屋に入ろうとしてくるね」


「寝坊してもしらんぞ」


「うぐ……いいけど、私もそれ相応の準備はしておくよ」


「準備?」


「例えば…寝る前にわざと服が乱れるようにして寝たり、なんなら際どい感じにして…」


「寝相悪いから意味ないだろ」


「…そっか」


「まぁ、やったらやったで関係ないけどな。起こすだけだ」


「結局は起こすか〜。朝だから達也もナニかが大変なんじゃないのかなと思って?」


「余計なお世話だ」


「へーい、襲ったら許さんけど」


「襲うかドアホ。襲うならとっくに襲ってる」


「え…」


「そらそうだろ、例えばお前が風呂に行ってる間に無理矢理俺も入って…とか、こうやってくつろいでいるか今も、寝てる時も…無防備だからな」


「そ、そっか……言葉にされるとなんていうか、あれだなぁ」


「まっ、お前を襲いたいほど欲求が爆発寸前な俺じゃないから安心しとけ。あと、普通にお前そのものに欲情するつもりはない」


「はぁぁぁ!!?」


「慣れ…っていうか、腐れ縁だからっていうか…大事な親友だからっていうか……分からん」


「ふーん、なら私の裸見ても欲情しないと?」


「それは知らん。試した事ないからな。…試すなよ?試した瞬間お前の名前を緋奈から変態野郎と呼んでるからな」


「ご勘弁を…」


「まっ、冗談はこの辺で…本当はどうなんだろうな」


「なにが?」


「お前に対して俺が理性を抑えられなくなる事があるのかどうか…」


「さぁ?」


「さぁ?って…まぁ、多分ないとは思うが事が起きてからでは遅いからな」


「…そうだね」


「もし、いや…恐らく…いや、絶対無いとは思うが」


「おい」


「俺がお前の事を大好きになったとして、お前を襲ってしまった場合普通に殴っていいからな?」


「分かった。殴って殴った蹴って、ストレス発散するね?」


「おい!」


「あははっ。ちゃんと防衛するから、安心して?」


「おう」










ーーーーー後書き


最初なので少しだけ。


この小説はお分かりのとおり会話分のみとなります。どんな事をしてるのかは想像で補って下さい。…とはいえ、大人数が登場する話が出てしまった場合、苦手な三人称を書きます。



この小説は基本的にほのぼの日常しかありません。くだらない会話や真面目な話や…9割くらいくだらないお話です。ネタが尽きるまで投稿します。


この小説には暴力的な表現が良く含まれます。苦手な方はご遠慮を…くだらない話ばかりなのでどうしても「ぶっ飛ばすぞ」などや「下ネタ」とかも混じってしまいます。








さて、ここからはオマケ(これは毎話あります)




「人間って愚かだよね〜」


「…乗っ取られでもしたか?」


「失礼な。だって、一瞬の感情で犯罪を起こすんだよ?」


「それはそうだが…」


「まぁ、それもいろんな原因があるけど…」


「それを取り除くのは無理だろ」


「こびりついた汚れみたいに、これまでもこれからもずっと隣に居ることになるね。その汚れっていうのは」


「お前みたいだな」


「…これは、高度な愛を私に伝えているのか、それとも純粋に私が中々とれない汚れと言っているのか…果たして」


「後者」


「死ね、カス。私は水とスポンジがあれば直ぐに綺麗になるタイプの汚れよ」


「あぁ、こびりついた汚れじゃなくて直ぐに取れる軽いタイプの汚れか…軽い女(ボソッ)」


「ぶち殺すぞ、ワレェ」


「はっ、返り討ちにしたるわ!!」


「それはこっちのセリフ!」




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