自殺から救った少女は実の娘で、私は彼女を抱いてしまった。堕ちていく娘を、私はただ抱き止めることしかできない

駆威命『かけい みこと』(元・駆逐ライフ

第1章 必然の出会いと結び

第1話 おじさんが私の処女、もらってくれませんか?

「おじさんが私の処女、もらってくれませんか?」


「は?」


 タタンッと駅特有の規則正しい音が聞こえて来て、私の止まっていた思考が再び動き出す。


 だが、私の目の前に立っている学生服の少女はいったい何を言ったのか、さっぱり理解できなかった。


「せめておじさんが初めての人になって欲しいんです」


 初めての人。


 処女。


 その言葉の意味するところはひとつしかない。


 性交。


 セックス、だ。


「いやいやいやっ!」


 思わず少女の容姿をまじまじと見つめてしまう。


 長く、まっすぐの綺麗な黒髪が印象的で、おっとりとして真面目そうな顔つきをしている。


 実際少女は生真面目なのか全体的に化粧っ気はなく、紺色のスカートも膝上で、ワイシャツも第一ボタンまで止めているほどだ。


 清楚とか大人しいが制服を着ている様な少女であり、遊ぶだとか非行などとは程遠いどころか無縁そうに見えた。


 そして――つい見てしまった少女の胸は、年齢など関係なく大きい部類に入るのではないだろうか。


 紺色のブレザーに納められた女性の象徴は、大の大人である私の手で包んでもまだ収まりそうにない程の代物に見えた。


「な、が、学生がそんなことを言うものじゃない! 歳の差だってあるし、第一私たちはまだ会ったばかりだろう!?」


「そうですね。でも、そういうのは関係ないと思います」


 そう言って少女は指先で髪を持ち上げて耳にかける。


 白いうなじと形のいい小さな耳がちらりと見えて、心臓の鼓動が跳ね上がった。


「わたしは、おじさんに抱いて欲しいと思ったんです」


「そんな……」


 ためらう私に少女は迫り、真摯なまなざしを向けて来る。


 そこには何らかの邪心や思惑というものは一切見えない。


 ただ純粋に私との行為を望んでいた。


「お願いします、おじさん。私を救ってください」


「――――っ」


 そんな風に懸命な少女の態度とは裏腹に、私は彼女の薄桃色の唇や……華奢な肩。折れそうなほど細い腰に見入ってしまっていた。


 何故こんなことになったのだろうか。


 混沌としていく状況の中で、私は少女との出会いを振り返っていた。

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